第8話 初めてのトリミング。海は広いな大きいな!!

「キッちゃん!!今日はカットして貰いに行くよー!!」

カットって何ですか!?またドッグランみたいな感じですか!?

…勘弁です。


「クゥーン…クゥーン…」「違う違う(笑)痛くないの!!カッコ良くして貰いに行こうっ!!」

僕は籠のケージに乗せられ車ですぐ近くにある場所に到着。

そこは、甘い匂いがする小さなお店だった。


「チワワちゃんですね。狂犬病や予防接種等はされてますか?」「はい、大丈夫です。」「では、2時間後にまたいらして下さい。」「分かりました。じゃぁ、キッちゃんまた後でね!!」


なななな何で置いてくですかっ!!

ここは誰ですか!?あなたは誰ですかっ!?

僕は何をされるのですかーーーーっ!!


少し綺麗なお姉さんに抱っこされた僕は、高い台の上に乗せられた。

これが怖い。病院の時と同じ台だ。

ブルブル僕が震えてると、お姉さんはクシとキラリンと輝くものを手にしている。


そして…


シャッシャッシャッ…僕の重かった身体の毛がみるみる内に軽くなっていく。足の周りは少しくすぐったいです。(笑)

そして、お耳の中の掃除と…突然お尻をギューっとつままれた。

…お姉さん、僕何か悪い事しましたか!?お仕置きですか?今の。


最後はドライヤーで切られた毛を飛ばして終わり。

夏にピッタリ。爽やかで涼しいです!!

早くママしゃんに見て貰いたい。ママしゃんまだかなぁー!?

そう思っていた矢先、ママしゃんの車が見えた。


「キャンキャン!!キャンキャン!!」

僕はママしゃんに「終わりましたよ!」と叫ぶ。


「戻りました!」「キッドちゃん、おりこうさんでしたよ!」「ありがとうございます。わぁ!キッちゃん可愛くなったねぇ~!!」

エヘン!!ママしゃん似合う男に変身したのだ。

これで夕方のお散歩デートが益々楽しくなるぞぉー!!


「ありがとうございました。」

ママしゃんはそう言うと僕を抱き抱え、車へと乗せた。


「キッちゃん、このまま海に行ってみようかっ!!」

…??「海」って何ですか!?まさか…今度こそドッグランですか!?


車は走るよどこまでも。僕は…車に酔うよ、いつまでも。

着いた先は、お水と砂が山ほどある場所。


ザザァーーっと、水が僕の前に来ては帰って行く。これが「海」って言うんですね。

なんか不思議ですねぇ、鬼ごっこですか?


ママしゃんは履いていた靴を脱ぎ捨て、足をパシャパシャとさせては笑っていた。僕はピョンピョンと跳び跳ねながら押し寄せる海と格闘。


「キッちゃん(笑)何してるの!?(笑)」

負けませんよぉー!?海は大きいですが、僕の方が強いんだからっ!!


こうして、楽しかった時間も終わり。

僕とママしゃんは家に帰り、ママしゃんは僕の足を綺麗に洗ってくれた。


「キッちゃん、もうすぐ8ヶ月のお祝いだね!!」

お祝い!?またあの甘いおやつが貰えるんですねっ!?

楽しみ過ぎです!!ママしゃん、大好きです!!


その夜。

「出張」から早くも帰って来てしまったあの男は、とても機嫌が悪かったらしく…。

また僕が見たくない「光景」が始まった。






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