第24話 拗ねる&騒ぐをマスターした犬。
「キッちゃん!おいで!!」待って下さい、かおりさん!「早くしないと置いて行くよー!」上手く歩けないんです。待って下さい!かおりさん…
かおりさん…!!
「キッちゃん!?」
はっ!!今のは夢ですか!?ビックリしましたぁー…。
「キュンキュン鳴いてたけど、大丈夫!?」「……」「…ご飯にする?」「キャンキャン!」「もうっ(笑)ビックリさせないでよっ!」
最近、僕は「拗ねる」事をマスターした。
起きたくない時、もっと散歩したい時、お風呂に入りたくない時。
…お薬飲みたくない時。
僕は微動だにもせず、吠えもしない。
するとかおりさんは僕にご機嫌を伺ってくる。
つまり、甘やかしてくれるのだ。
「キッちゃん、最近無視するのやめてよね!」「キャンキャン!!」「何!?ご飯食べたでしょ!?」「キャンキャン!!」「…まさか、おやつ?」「キャンキャン!!」
そしてもう1つ。
僕はおやつを貰えるまで「騒ぐ」事もマスターした。
そうなんです。
かおりさんって、僕には甘々なんです!!
「よし!芋虫人形で遊ぶよー!!」
待ってましたぁ!!今日も負けませんよ!!毎日1人でいる時鍛えてますからね!!
「よーいどん!!」「ンググググ…」「ふぬぅーっ!!」「ングルルルルル…」
プゥゥーー?
「あっははは!キッちゃん今おならした!?」
ち、違うんです!!何か今日は手足に力が入らなかったので頑張り過ぎたら力んでしまってっ…!!
「だ、だめだっ!!お腹痛い~(笑)」
かおりさん大爆笑。僕は恥ずかしさのあまり、部屋の中を猛ダッシュ。
ダダダダダダッ…「ドタン」!!
「え?キッちゃん!?」
僕は片方の手足に力が入らず、そのまま壁に突撃してしまった。
「だ、大丈夫!?」
手足がビリビリと痺れる。それも、片方だけ…。
かおりさんの表情が一変。「キッちゃん、病院に行こう!!」
えっ!大丈夫です!遠慮しときます!!
だがしかし、今回もケージにポーン、車にポーン!!
僕は病院に連行された。
「先生、キッドの右手足が弱い気がするんです。」「そうですか…。」
噛むぞ噛むぞ噛むぞ!!
先生は僕の手足を曲げたり伸ばしたり…片方の手足だけで立たせてみたり。
「確かに。右の手足、力があまり入らないようですね。」「やっぱり…。」「脳炎が少し進行したかもしれません。お薬を変えます。それで落ち着くかどうか、様子を見て下さい。」「先生、散歩はもう…」「短時間であれば構いません。リハビリにもなりますし。」「そうですか。わかりました。」
帰宅後、少し落ち着いた僕は4時のお散歩デートに出発。
テクンテクンと少しぎこちない歩き方ではあるが、元気は元気!!
「キッちゃん、大丈夫?」「キャワン!」「おしっことうんち終わったら、今日は早めに帰ろうね。」「……」「帰るのっ(笑)」
リードをピーンと張り巡らせ、僕は「嫌だ」のアピール。
でも、かおりさんには叶わずヒョイと抱えられてしまった僕はそそくさとお家に帰宅した。
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