私は犬になりたかった。そして、僕は人間になりたかった…

第45話 男は性欲の塊です！！

「キッちゃん、４時の散歩行くよー！！」「キャンキャン！」

僕は今日も変わらずお散歩デートに行くため外へと飛び出す。

「今日はちょっとだけコース変えてみようか！」

新しい道。歩いた事のない世界。

とても新鮮でワクワクします！！

「こんばんはー！」「こんばんは。」「チワワちゃんですか！？」

かおりさんに声を掛けて来てくれたのは、若いお姉さんとお兄さん。足元には僕より少し大きくて胴の長い犬がチョコンと大人しく座っていた。

「可愛い！ねぇ？たける！！」「うん、凄く可愛い！！」「…新婚さんですか？」「はい！先月入籍したんです！！」

手を繋ぎながら犬の散歩…。

ふむふむ。これが「恋人」なんですね。勉強になります。

「ワンちゃん、ダックスちゃんですか？可愛いですね！」「入籍記念日として、家族に迎え入れたんです！ね？たける！」「うん、みっちゃん！」「あはは…(笑)」

「こんちには！あたしの名前はチュチュ。あなたは？」「あ、どうも。僕はキッド。」「うちのママとパパ、仲良しでしょ！？」「う、うん。かなり。」「毎日チューしてるんだよっ！！」「チュー！？」「朝も夜も。寝てる時もチューしてる。 」「それが恋人の証なんですか？」「みたいよ。羨ましいわ。」

僕もかおりさんと恋人らしい事をしたいです。

チューがキーポイントなんですね。それをすれば…かおりさんの心は僕に釘付けですね！！

…もっと情報聞こうかな。

「チュチュさん、人間の「恋人」って、他に何するですか？」「うーん。うちのパパとママて言えば、抱き合ったり…あ、最近の記憶であるのは夜中に裸でチューしてたわ。」「裸ですか！？」

破廉恥ですねぇ…。でも、僕もかおりさんと裸で抱き合ってチューしたいです。

今夜、いざ実戦です！！男たるもの、グイグイ行かなきゃダメですよね！

「こっちに来いよ」位がちょうどいいかもしれません！！

「仲良しご夫婦で羨ましいです。」「奥さんはダンナさんとラブラブしまゃないんですか？」「うちは、この子と常にラブラブなんです(笑)」「そっかぁ！！チワワちゃん男の子ですか？」「えぇ。」「チワワ君！男は性欲の塊だ！彼女にはとことん甘えていいんだからね！！」「ちょっとたけるったら(笑)」「は、はは(笑)」

分かりましたよ、お兄さん！！男は塊なんですね。ちょっとエッチな方が彼女は喜ぶんですね！！かおりさんに喜んで貰うべく、今から僕は「エッチな彼氏」に変身します！！

その夜…。

第1弾。

僕はかおりさんの膝の上で一生懸命お膝をペロペロタイム。

「キッちゃん、くすぐったい！(笑)」

愛情表現です！ザ・エロスです！！

第2弾。

お風呂に入ってるかおりさんの様子を脱衣所でガン見。

「…何してるの？」

僕は裸になったかおりさんに抱っこをせがみ、首や肩をペロペロ。

「ちょ、きゃはは(笑)くすぐったい！」

かおりさん、徐々に僕の罠にハマって来てますね！？

これぞ「恋人」です！！

でも、まだまだ続きますよぉー！！

第3弾。

寝室にて、かおりさんのパジャマの中に潜り込む。

「わわわっ！キ、キッちゃん！？」

愛を～育むです～。

何なら～子作りだってしますよぉ～♪

ギュムムと潜入し、お腹やらおっぱいやら、とことんペロペロしまくる僕。

「なんかキッちゃん彼氏みたい(笑)」

「みたい」じゃありません！！「彼氏」なんです！！

これからもちょこちょこちょっかい出して本物の「夫婦」へと昇格しますからね！！待ってて下さい！！

第4弾を仕掛けようとした所で、かおりさんは夢の中。

僕はムラムラしたまま肉球をアムアムと噛んで落ち着かせた。