第18話 新境地でのお散歩デート。

「よいしょっと!!はぁー…疲れた!!」「キャンキャン!!」「あ、もう4時か。キッちゃん、お散歩行こう!」「キャウーン!!」


今日から新しいお家での生活がスタート。

そして、ここで新たな僕の決意表明があります!!

僕は「ママしゃん」と呼ぶのを昨日で辞めた。あの男がいなくなり、本格的に女性を守るのに「ママしゃん」ではとても情けない。


なので、今日からは「かおりさん」と呼ぶ事に決めました!!

なんてったって、僕の「彼女」ですからね!!

名前で呼ばないと!!

…あれ?みんな僕に拍手を下さい。偉いでしょ!?


前よりは少し狭いけど、かおりさんと2人で暮らすには充分です!!

…何ならもっと狭い方が寄り添えて嬉しいです。


「寒くない?キッちゃんに冬の洋服買ってあげるね!」

かおりさんの笑顔が穏やかになった気がする。

今までは、どこか笑顔の中にも曇りがあった。

でも、今はそれがない。晴れ晴れとしている。

それが僕はとーーっても嬉しいのでありますっ!!


恒例のお手紙探しタイム。

…この匂いはキツ過ぎますね。ちょっと辞めときます。

この匂いは?ふんふん…お手紙されまくりでよく分かりません。


新しい街での夕方4時お散歩デート。

他の犬さん達も沢山いる。でも、僕は小心者なのでかおりさんの後ろに隠れて身を隠すのです。

…かおりさんのドッグランのせいですよ!?


「キッちゃん、どう!?お手紙沢山ある!?」「キャンキャン!」「今日からはここがお散歩コースになるから宜しくね!」


悪くないです!面白いお手紙が沢山有りすぎて…ワクワクします!


「もうすぐキッちゃんの8ヶ月のお誕生日かぁ…。早いなぁ。」

えっ!またお祝いしてくれるですかっ!?

またあの美味くて甘くて柔らかくて…とにかく、ご馳走が食べれるのですねっ!?

犬だけにワンダフルです!!


「キャオオオーン!!」「えっ!(笑)まだだよ?もう少ししたらだからね!?」「キャンキャン!!」「まだだってば!!(笑)」「クゥーンクゥーン…」「甘えてもだーめっ!(笑)」


かおりさんは人間だけど、僕の言葉が分かるのかな?

僕は犬だけど、かおりさんは僕の言葉が伝わっているのかな?


やっぱり、僕らは「運命」で出逢った2人。

だから…そこそこは分かるはず…です。


「よし、帰ってご飯にしよっか!」

かおりさんが走り出す。僕は負けじとかおりさんに追い付く為にダッシュで走り出す。

「キッちゃん、早いなぁ~(笑)」「キャン!」


何気ない穏やかな夕方。

もうすぐ寒い季節が来ると匂いで感じ取れる僕。


「キッド、待て!」シーーーーーン。今日も待ての儀式。

「よしっ!いいよー!!」ハグハグ!!んー、今日はお肉多めで美味しいですねぇ!!


「今日は引っ越しのお祝いだから、缶詰混ぜてみたの。おいしい!?」ハグハグ…ハグハグ。「…おいしいみたいね(笑)」


幸せな日々。楽しい毎日。

こんな日がずっと続けばいい…

僕は、ただそれだけを願っていたんだ。










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