第35話 10ヶ月のお祝い。チャコは怖いです。ガクブルです!!
「キッドちゃん、いらっしゃい!!」「キャンキャン!」
ばぁばです!!お顔シワシワですねぇ!!何か面白い顔です!
「あら、いらっしゃい。」「チャコこんにちは!」「最近寒くて嫌んなっちゃう。コタツの中が恋しいわ。」「寒いかなぁ!?ところで、その顔の傷…どうしたの!?」
チャコが目の上の部分を怪我している。
片目を半分しか開けられない様で、見ていてとても痛々しい。
「喧嘩したのよ。」「喧嘩っ!?誰と?」「ちょっと外に出たら、新入りの猫がいてね。ここはあたしの縄張りだから威嚇したら喧嘩になったよ。」「縄張りかぁ…」
確かに。僕も昔はケージが縄張りのようなものだった。
心許せる人…かおりさん以外の人が近付くのが凄くいやだった。
あの男が近付くのだけは、特に…。
「大丈夫なの?」「平気よ。新入りも追い返してやったわ。猫って意外と気高くてプライドが高いのよ?」「そ、そうなんだ…」
チャコがフフンと鼻を鳴らし、かおりさんの足元にスリスリしに行った。
僕はと言うと、ばぁばに抱っこされてユラユラ…
「キッちゃん!10ヶ月のお誕生日おめでとう!!」
かおりさんが何処からともなくケーキを用意してくれた。
「キッドちゃんおめでとう…って、なんだか重くなったんじゃない!?」「やっぱり?」「なんだかズシンと来る(笑)」「あまり太らせちゃ駄目なんだけど…。」
重くなってないです。冬の毛だからそう思うだけです!!
モフモフで触り心地最高じゃないですか!?
僕は常に毛布にくるまってる感覚です。
「キッド、待てだよ!」ジーーーーーーっ…。「その目なんなの(笑)よしっ!いいよ!!」
バクバクバクバク…僕は無心に食べてから続ける。
「チャコも食べる?」「あたしはチュールが好きなの、いらないわ。」「ふーん…、あれ?チャコ、目の上どうしたの?」「喧嘩したのよぉ~。」「チャコは相変わらず気が強いんだねぇ(笑)大丈夫なの?」「病院に連れてって消毒して貰ったの。大丈夫みたい。」「犬の世界も、猫の世界も…人間も。色々あるよね…」「色々あるから楽しいと思える事があるんじゃないの。マイナスに考えないで、なるべく前向きにね。疲れちゃうから。」「うん、ありがとう。」
「キッド、あんた具合悪いの?」「どうして?」「右目が白く濁ってるし、身体も歩き方が…」「僕「脳炎」っていう病気なんだ。」「脳の病気…?あんたこそ大丈夫なの?」「うん、病院で治療中なんだ。」「あたしより若いのに何てことなの…。」
チャコが「グルニャン」と鳴き、僕の耳をペロッと舐めてくれた。僕はくすぐったくてブルブルとしてしまったが、そのやり取りを、かおりさんとばぁばが微笑ましそうに見ている。
「ねぇチャコ。」「何?」「チャコがもし病気になったらどうする?」「一度捨てられて死にかけたあたしに怖いものなんかないわ。とことん病気と闘うまでよ。」「つ、強いね。」「病気になってしまったものは仕方ないの。それを受け入れて治すのが今のキッドの務めでしょ?」「それはそうだけど…」
僕がグズグズ言っていると、チャコが突然手を甘噛みしてきた。
あまりにも突然の事で「キャン!」と鳴いてしまった僕は、かおりさんとばぁばに心配され、チャコがばぁばに叱られてしまった。
「チャコ!駄目でしょ!?いつもこんな事しないのにっ…」「きっと、なんか言い合いでもしてたんじゃない?(笑)キッちゃん尻尾が隠れてるもん。」「そうなの?チャコ!?」
「ご、ごめんチャコ!」「いいのよ、別に。それよりも、かおりさんの為にもっと男らしくなりなさいな!!」「は、はい…」「あんたがしっかりしてなかったら、かおりさんはもっと不安になるのよ!?チンチン付いてんでしょ!?」「…タマタマもついてる。」「なら歯を食いしばって頑張りなさい!!」「はい…」
チャコに会うといつも激励&渇を入れられる。
チャコは強い。僕もチャコみたいになりたい。
「ニャーオ」って鳴けば強くなりますかね!?
「かおり、今夜は泊まって行ったら?」「でも、キッドの薬も用意してきてないし…今度泊まりに来るよ。」
「今度来たら、あたしの縄張り教えてあげるわ!」「どんな所なんですか?」「そこの庭よ。あんたもマーキングしておきなさい!!」「マーキング!?」「おしっこひっかけるのよ!!」「はぁ…」
こうして、ばぁばとチャコとサヨナラした僕とかおりさんは、帰りにペットショップに寄り、沢山のおやつを買い込んで自宅に帰った。
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