第56話 いつもの散歩・新しいお友だち

「キッちゃん!4時だよー!お散歩行くよ!」

キッちゃんとのお散歩。時間は暑くもなく暗くもならない夕方の4時に固定した。


「キッちゃん、今日も熱いねぇ~。」夏は苦手だけど、アスファルトに近いキッちゃんの方がもっと暑いもんね。ちゃんと気を付けてあげなきゃ。


「あらぁー!!可愛いチワワちゃんねぇ!!」「ありがとうございます。」「何歳?」「まだ一歳になってないんです。そちらのワンちゃんは、トイプードルですか?」「そうなの!!家の子と同じねぇ!!ほらっ、お友達になったら!?」


ミルキーちゃんと言うとても可愛いメスのワンちゃん。ご近所さんとは付き合いが中々無かったけれど、キッドのお陰でこうしてご挨拶も出来たりする様になった。


キッドもミルキーちゃんと喧嘩もせずに、仲良さそうに鼻と鼻をくっつけている。とっても可愛くて思わず微笑んでしまうあたし。


「これから、仲良くして下さるかしら!?」「勿論です!こちらこそ宜しくお願いします!」「良かった!それじゃぁ、また。」


「風間さん」と名乗った、上品でとても優しい女性と別れたあたしは、ご機嫌な様子のキッちゃんに話しかけた。


「キッちゃん。あのワンちゃん可愛かったねぇ!!」「キャンキャン!!」「え!?あっ!!もうご飯の時間か!!お話してて時間があっという間だったね。急いでお家に帰ってご飯にしようね!!」


勿論返事は無いけれど、尻尾がフリフリしていて反応がわかりやすい(笑)可愛いなぁ(笑)


そして。

今日からからゆうたさんは出張へ行く日。正直、とても有難い。

いつ帰ってくるかは未定との事。これで暫くは穏やかでいられる…。


最近、特に思う。私はゆうたさんを詮索したり、根掘り葉掘り聞いたりしない。

もし、浮気をしているのならそれでいいとも思っている。


「それで機嫌さえ悪くならないのであれば。」


そう思ってしまう自分がいる。

とにかく、今日から殴られたりしなくて済む夜を迎えられる。

全身の力が抜け、安心する。


「キャンキャン!!」「元気だねぇ(笑)何して遊ぶ!?」


私は、はしゃぐキッドと楽しい夜を過ごし、寝る前に少しだけお散歩デートをして…。

そんな日がしばらく続いた。


とある日。

「キッちゃん!!今日はカットして貰いに行くよー!!」

初めてのトリミング。可愛いキッドがもーっと可愛くなるのが本当に楽しみ!!


「クゥーン…クゥーン…」「違う違う(笑)痛くないの!!カッコ良くして貰いに行こうっ!!」

キッドをケージに乗せ、車ですぐ近くにある場所に到着。


「チワワちゃんですね。狂犬病や予防接種等はされてますか?」「はい、大丈夫です。」「では、2時間後にまたいらして下さい。」「分かりました。じゃぁ、キッちゃんまた後でね!!」


とてつもなく不安そうなキッドの表情。なんだか悪い事をしている気分になってしまう。


2時間…どうしようかな。

あたしはキッドのおやつやごはん、新しいフカフカのベッドを買いあっという間に2時間が経過。


お店の横に車を停めると、目をウルウルさせながらあたしを見るキッドがいた(笑)

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