第15話 ママしゃんを守ってくれる人現れる。
「いつからなんですか?」
狭い部屋に僕とママしゃんは通され、女の人1人、男の人1人がいる中でママしゃんへの質問が始まった。
「1年位前からです。」「どんな時に旦那様はそうなるんですか?」「基本は夜で…でも、優しい時もあるんです。」「身体…私に見せて頂いても宜しいですか?」
女の人がママしゃんを別室へと呼び、消えていく。
すると、僕が匂いを覚えていた男の人が僕の頭を撫でてくれた。
「偉いな!ちゃんと俺を覚えててくれたのか!?ママを守りたかったんだよな!もう、これで大丈夫だからな。」
僕は男の人の手をペロペロと舐めると、その男の人は優しく抱き締めてくれた。
少し経って戻って来たママしゃんと女の人。
女の人は、男の人に写真を見せた。
「酷いな…」「これ、完全なDVですよ。」「奥さん、毎日こんな仕打ちに耐えられてたんですか?」「…あたしが悪いので。あたしがちゃんとしていれば、主人は怒らないと思うんです。」
すると、女の人はママしゃんにこう言った。
「旦那様は、奥様を自分の思い通りにしようとして様々な暴言や暴力をふるいます。次第に奥様は自分は無力だと思うようになり、恐怖を抱き…自分に対して絶望したり。そして、あきらめたりして今とは違う生活を想像できなくなってしまうんです。」
「自分の思う通り…?」「そうです。あなたを「支配」しようとするのがDVです。」「でも、優しい時もあるんです。怒った後とか、殴られた後は特にっ…!!」「奥様…」
女の人はママしゃんの肩に手を添え、宥める様に話し出した。
「旦那様の暴言や暴力の後は、必ずと言っていい程激しい暴力はおさまります。旦那様はは奥様にに謝り、もう二度と暴力をふるわないと約束したりします。そして、態度が優しくなり、プレゼントを贈ったりする事もあります。
そのため奥様は、今度こそ相手が変わってくれるのではないかと期待をします。」
「期待…。」「そう、「また仲良くやっていける」そう勘違いをしてしまうんです。でもね、」
「しばらくすると再び緊張感が増すようになり、暴力が繰り返されそのサイクルは早くなるんです。
このサイクルが繰り返されると、奥様は自分ではどうしようもないと、無力感を持つようになります。奥様は旦那様から逃げられない、離れられないと思うようになり、長い間旦那様のもとに留まってしまうのです。」
「まるで、今の私の様…」「奥様、目を覚ましましょう。」「そうです。せっかくワンちゃんが教えてくれたんです。長い人生、このまま、また恐怖に怯えながら生活を送るのですか!?」
ママしゃんが顔を俯けながら、首を横に振る。
「我々が介入して、宜しいですね?」「…はい。宜しくお願いします。」「よしっ、逮捕に向けて動くぞ。」「はいっ!!」
ママしゃんは、これで助けて貰えるのですか?
僕は犬で何の役にも立てませんが、少しは頑張れましたか?
これからは、毎日ママしゃんの笑顔だけが見れるのですか?
「奥さん、今後についてのお話を…」「あ、はい…」
僕はちょこんと座りながら、首を傾げてみんなの会話を盗み聞き。
でも、難しすぎて全然分からない。
だけど、「もう怯える事はないですよ。」その言葉だけ。
それだけは僕の心に響いていた。
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