第14話 あの時と同じ匂いの人。ママしゃんを助ける為に。
「キッちゃん!4時だからお散歩行こうか!」
待ってましたぁ!!行きましょう。お散歩デート!!
幸せな一時。
この時間だけは何もかも忘れて思う存分楽しめる。
ママしゃんもきっとそう。笑顔でお外の空気を吸いながら、ハァーッと息を吐く。
テクテク。僕はお尻をフリフリしながら散歩をする。
今日はお友達のお手紙が沢山。
忙しいですねぇ。…でも、うんちはちゃんと飼い主さん拾って下さいね。間違えて踏んだら大変な事になりますよ!?
いつもの公園の周りをぐるっと一周。
大体40分位だろうか?
それが僕とママしゃんの毎日の日課。
すると、1人のおばあちゃんがフラフラしながらママしゃんに寄ってきた。
「帰り方が分からなくなってしまって…」「お家はどの辺りなんですか?」「確か、この辺だとは思うんだけど…」
このおばあちゃん、何処か顔色が良くない。
「家が分からない」
ママしゃんはおばあちゃんが持っていたバックを借りて中身をガサガサと探した。
「…何も手がかりになるようなもの、入ってないですね…」「もうすぐ孫が学校から帰って来るんです。帰らないと…」「携帯とかも持ってませんよね?」「はい…」
ママしゃんは沢山考えた末、警察という所に電話をしてここまで来て貰う事にした。
すぐに来てくれた二人組の男の人。
ここで、僕は嗅いだ事のある匂いの人を見つけた。
そう…あの時の人…。
「キャンキャン!!ギャンギャン!!」「キッちゃん?どうしての!?」「おぉー!元気なワンちゃんですね!ワンちゃんのお名…」
その男の人は、ママしゃんの顔を見て表情が変わった。
「ギャンギャン!!キャンキャン!」
お願い。気付いて…。
ママしゃんが毎晩殴られている事を。いじめられている事を。
この間、来てくれたでしょ?
お願いします。ママしゃんを助けてあげて下さい…。
「奥さん、そのアザ…どうしました?傷も酷い。」「あ、いえ…、これは…。」「しかも、治りかけのアザもある。」「だ、大丈夫です!!」
すると、その男の人はおばあちゃんの相手をしていたもう1人の男の人と何か話をし出し、数分後…。
もう一台の車が到着した。
降りてきたのは今度は女の人だ。
「奥さん、ちょっと宜しいですか?」「は、はい…」「1人で抱えて来たのではないですか?悩んでは泣いて来られたのではないですか?」
「あなたは、こんな事をされる為に生きているんじゃないんですよ!?」
すると、ママしゃんの頬を涙がつたう。
そして、崩れ落ちる様に地面にしゃがみ込んだ。
「助けて…下さい。」
「正直に話してくれてありがとうございます。」
「あなたを全身全霊守り抜きます。」
女の人はそういい、僕はママしゃんに抱き抱えられ「警察署」という所に到着した。
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