第29話 神様現れる。サプライズプレゼント!?
「…ちゃん、キッちゃん。」
「ふえ!?何ですか?「着いたよ!!少し早いけどもう少しで初日の出が見れるよ!!」
車から見える景色はまだ薄暗い。でも、他にも沢山の車や人達、中には車から顔を出す犬の姿が見えた。
「はい。お水。」
僕はかおりさんから貰った水をペロペロと舐め、ウーンと背伸びをする。
「キッちゃんと、必ず来ようと思ってた場所の1つなの。」
かおりさんはそう言うと、僕を毛布にくるみ車の外へ出た。
そして…僕の片目で見えた海の奥の光景…
お日様が少しずつ少しずつ…「おはよう」と顔を出し、辺り一面を照らし始めた。
「キッちゃん、明けましておめでとう!!」「……?」
僕は首を傾げながらどんどん明るくなる空を見上げた。
「来年も…必ず見に来ようね?」
かおりさんが僕の顔に頬擦りしながら言う。
「必ず…また2人で必ず見に来よう…」
かおりさん、僕のお顔に冷たいお水が掛かりました。
泣いてるですか?
かおりさん…大丈夫です。僕はまだ生きてます。元気ですよ?
必ず治りますから、見てて下さいっ!!
「願掛けじゃないけど…、どうかこのままキッドと穏やかに暮らさせて下さい。」
かおりさんはお日様に向かって手を合わせ、何度も何度もお願いをしていた。
お外は寒いけど、周りの人達もワイワイ賑わっている。
もしかしたら、お日様が神様ですか!?
みんなして手を合わせて…お日様は偉いんですか!?
それなら僕も…
「おやつを1日3回に増やして下さい!!」
よしっ!これで今日からおやつが増えます!
さっさと帰りましょう、かおりさん!
「実は…もう1つキッちゃんにサプライズがあるんだぁ!」
サプライズって何ですか!?…まさか、お薬ですか!?
あっ!さては…ドッグランですね!?
行きませんよっ!?あそこは地獄なんですからっ!!
かおりさんが用意してくれていたプレゼントはペット可のペンション。僕とかおりさんは初日の出をたんまりと堪能した後、ゆっくりとそのペンションに向かった。
でも、僕は嫌だったんです。だって…。
そうなんです…沢山の犬や猫がいたんですーーーっ!!
「空気が美味しいねー!?キッちゃん!」
わんさかいますよ。あ、あれなんて僕と似たような顔じゃないですか!!うわっ!!でっかい犬!犬がいます!!
「こんにちは!!同じチワワちゃんですね!」「はい。何歳ですか!?」「13歳のおじいちゃんなんです。」「でも、元気そうですね!」
「おい、若造。」「え、僕の事ですか!?」「若いってのは素晴らしい事じゃ。今のうちに沢山遊んでおけ。」「おじーちゃんは遊べないの?」「この歳になると目も耳も老いて来てなぁ。飼い主さんには迷惑かけてばかりじゃ。」「僕も病気で迷惑掛けてるんだ…。」
かおりさんとおじーちゃんの飼い主さんはにこやかに会話が弾んでいる。
すると、おじーちゃんが僕にこう教えてくれた。
「ワシ達の寿命は人間より遥かに短い。年老いて寿命を全うするのも、病気で寿命を全うするのも、飼い主に取っての悲しみはそれはそれは深いものじゃ。だからこそ悔いの無い日々を送って…」
「飼い主に恩返しをしていくのがワシ達の役目だと思っておる。」
ケフンケフンと小さな咳をしながら、おじーちゃんはそう教えてくれた。ヨタヨタと頑張って歩く姿に僕も頑張ろうと励まされ、そして。
悔いの無い日々を送ってかおりさんに恩返しをしようと決めた。
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