第47話 張り詰めていたかおりの心。
「なんだか、沢山泣いてすみませんでした。」「いいのよ、少しはスッキリした?」「はい。ありがとうございます。」
ミルキーちゃん曰く、かおりさんはミルキーちゃんのご主人様に身体を預けながら泣いていたという。
そこまでかおりさんを追い詰めてしまっている原因は僕であるのは知っている。
かおりさんは、いつでも僕には笑顔でいてくれる様に頑張っている。それがパンッと弾けてしまったのだろう。
…僕には、どうしてあげることも出来ない。
本当に、僕が人間だったら…そう悔やんでならない。
「ミルキーちゃん。」「はい。」「僕を叱って?」「え?」「こんなダメな僕を「しっかりしろ!」って叱って欲しいんだ。」
病気になると心も荒んでしまう。
そうなってしまっている僕が本当に大嫌いで…
「キッドさん。辛いのはキッドさんだけじゃないです。」「うん。」「ここにいるみんながキッドさんを心配して涙を流しています。」「うん。」「心までもが病に負けたら、そこで終わりですよ!!」「…そうだよね。」「しっかりして下さい!!」
「あなたはご主人様を守るべき立場なんですよ!!」
ありがとう。ミルキーちゃん。こんな情けない僕を見捨てないでくれて、本当にありがとう。
そして、ミルキーちゃんのご主人様。
かおりさんに寄り添ってくれてありがとう。心を溶かしてくれてありがとう。
そして、かおりさん。いつもありがとう。
僕は「生きたい」。だから、あなたの手で生かして欲しい。
僕は犬だから、あなたの力無しでは生きて行けません。
悔しいけれど、それが現実。
こんな僕になってしまったけれど生かして下さい。
一生懸命、僕はあなたの笑顔を守る為に生きてみせます。
「キッドは…こんな泣き虫な飼い主で嫌でしょうね。」「泣き虫な飼い主だからこそ、ほっとけなくて生きてるのよ。」「私の命よりも大事な…彼氏なんです。」「それなら、尚更弱音を吐きながらでも守りとおさないとね!」「…はいっ!!」
犬の想い。人間の想い。
それぞれ考えはまるで違うかもしれない。でも、「守りたい」「生きたい」と思う気持ちは命ある限り同じだと僕は思う。
僕がもし、人間だったとしても…
かおりさんの為に生きる選択を選ぶだろう。
「じゃぁ、そろそろ帰ろうかしらね。」「え、せっかくですから夕飯食べて行って下さい。」「でも、悪いわ。」「全然!むしろいて欲しいんです。側に。」
「キッドさん、夕飯ご馳走になりますね。」「じゃぁ、もっと長く一緒にいれますね!」「いてもいいですか!?」「当たり前じゃないですか!!」「…良かった。ありがとう、キッドさん。」
こうして、夕飯を食べ終えた僕達はまったりと時間を過ごし…
なんとこのまま「お泊まり」する事になった。
そして、次の日の朝。
外の空気を吸う為に外へ出た僕達の前に元気ハツラツのこてつが現れ…
まぁ、とにかく凄かったんです。
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