第40話 身体の進行。ライバル現るっ!?
「4時のお散歩、少しだけ行ってみようか?」
1日1日…日を追う事に僕の身体は自由が効かなくなっていった。
あれから数ヶ月。
視力は完璧に奪われ、せめてもの救いだったもう片方の後ろ足も、今では力が入らない。
なんとか歩こうとしても、すぐに後ろ足がペタンとなってしまう。そうして、この日から僕はオムツ生活が始まった。
片方の前足だけではもう歩けない。かおりさんのサポート無しではおしっこもうんちも…お友達のお手紙を読むことすら出来ない。
幸い、痙攣の発作は治まっていた。旋回行動も身体が不自由の為に制限出来ていた。ただ、目の左右に動く動作は治まる事がないまま。酷くなると座薬を入れて落ち着かせる状態だった。
「もうすぐ6月だね…キッちゃんと出逢ってもうすぐ8ヶ月かぁ…。」
もうすぐ僕は1歳2ヶ月になる。まだ1歳2ヶ月?それとも、もう1歳2ヶ月?
かおりさんの腕に抱かれながら散歩をしていると、ある1人の女の子の声が聞こえて来た。
「触らせて貰ってもいいですか?」「どうぞ!」「わぁ…可愛い!名前は?」「キッド、おねえちゃんは何歳?」「9歳!家にも犬がいるんだけど、今度連れてきてもいい!?」「うん、いいよ!!いつもこの時間にお散歩してるはずだから!」「わかった!バイバイ、キッド!!」
元気な子供ですねぇー。家の近くにこんな元気な女の子がいたなんて知らなかったです。
犬がどうたら言っていましたが…優しい犬だといいんですが、オラオラ系は苦手です。
そして翌日。
僕は同じ時間にかおりさんと外に出た。
すると、昨日と同じ声の女の子が走ってくる音が聞こえた。
「あら、こんにちは…えー!!チワワちゃん!?」「うん!そうなの!!」「ちっちゃーい!可愛いっ!!」
僕と同じチワワですか!?くぅーっ!!顔が見てみたいです…。「男の子?女の子?」「男の子!あっこら!腰フリフリダメだってば!!」
…ん?腰フリフリ??誰に??かおりさんに!?
まさか、僕のかおりさんに腰フリフリ!?
確かに、犬の匂いがすぐ近くにあります。
断固として許しませんよーー!?
かおりさんは僕の彼女です!!触るなっ!!
「ギャンギャン!!」「わっ、キッド!ビックリしたぁ、どうしたの!?」「ギャワワン!ギャオン!!」
「キッドごめんね!!もう引き離したから大丈夫!」「…あ。キッちゃん、ヤキモチ妬いたの!?」「グウゥゥゥ…」「お姉ちゃん、キッドは何歳なの!?」「1歳2ヶ月だよ。チワワちゃんの名前はなんていうの?」「こてつ!!まだ5ヶ月!!」
名前が「こてつ」ですか!?しかも、まだ青臭い子供じゃないですか。
ふんっ、僕のお兄さん魂を見せつけてやります!!
バタバタと僕は「降りたい」アピールをかおりさんにし、かおりさんは困りながらゆっくりと僕を地面に降ろした。
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