概要
そこで出会った一人の男性。
今まで会った事の無いタイプの彼に彼女は強く惹かれ、彼のアトリエに出入りするようになるが、そこにはもう一人出入りする同い年の男の子がいた。
素敵な大人の男性と、憎たらしいけど少し気になる男の子。
ADHDの彼女をきちんと受け止めてくれた二人との関係は――。
※作品内に出てくるコンテスト、美術館等は全て架空のものです。
※ADHDのキャラが出てきますが、ADHDの方が全てこういう特性というわけではありません。『ADHDの中の一つの型』をピックアップしています。
この作品は丸和華さん(
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!とにかく必死
注意欠陥・多動性障害(ADHD)を抱える少女が、周囲の人とぶつかりながら、自分ともぶつかりながら、足掻くように少しずつ成長していく物語です。
少女は絵を介して自分の居場所を見つけて前に進みはじめます。
でも、その進み方がくだり坂を転がり落ちているような感じで、あちこちに怪我をするような痛々しさを伴っています。とにかく不器用な少女なんですよね。
ところが、読み進めていくうちに少女の進む道がくだり坂ではなくなっていきます。のぼり坂を突っ走っているような印象に変わっていくんです。そののぼり坂もなだらかではなくて、少女はやはり必死で走るしかありません。いつでも必死です。
こういう物語も一種のサ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!フレームの外側の世界が、その出会いによって鮮やかに色づく
誰と、どんな風に出会うか。
全ての人の人生において、それは大きな意味を持ちます。
誰一人とて同じ個性を持たない世界で、他人と関わることがなければ、自分がどんな形をしているのかも分からない。
凹んだところを埋め合うように、寄り添える形の相手と一緒にいられたら、自分の持つ可能性のパワーは何倍にもなるでしょう。
ADHDという特性を、とても丁寧に描いた作品です。
どこかの誰かが決めた「普通」の枠組みから大きく外れてしまった主人公・瑠璃は、馴染めなかった学校の外に居場所を見つけます。
ありのままを受け止めてくれる澤田先生に、逃げることなく正面からぶつかってくれる湊人。
二人と出会わなかったら、瑠璃…続きを読む - ★★★ Excellent!!!現実世界にはフレームなんか無いんです
――面白かったです――ここで終わると語彙が無いといわれちゃうので……
とある画家の先生を通じて知り合った、ちょっとシャイなボーイと、ADHDなガールの、ガールミーツボーイの物語。
主人公の女性は、ADHDといわれます。でも、思い込みがほんの少しだけ強い、注意がほんの少しだけ散漫な、少しだけ自己中心になってしまう、本当に普通の喜怒哀楽が激しい女の子なのです。
だから、周りの人達が気長に付き合ってあげる事さえできれば(これって、普通に友達付き合いする時もそうですよね? ちょっと趣味が変だから、自己中だからって、拒まないでしょ)普通に、相棒になれるんです。
絵画の世界では額縁(フレ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絵と恋と。少女は困難にぶつかりながらも、少しずつ向き合っていく。
主人公の瑠璃は、不登校になっているADHDという特徴を持つ少女。
居場所を求める彼女は、図書館で色鉛筆を落としたことをきっかけに一人の男性に出会い、絵の世界を知ることになります――
瑠璃は自分には居場所がないと思い込み、自分のことを中心に考えがちです。
そんな彼女が関わっていく絵、特に色んな画材が出て来て面白いです。
パステル、アクリル……名前は知っていても、細かなことまで知らない画材の世界が物語には広がっています。
恋愛の面でも、瑠璃は絵の先生である澤田、彼の弟子である湊人との間で揺れているようでそうでもないようで……彼女の絵の才能の行方とともに、恋の行く先も瑠璃が変われるのかどうかも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!群青色の空に叫ぼう!
印象的なシーンが絵画のようにちりばめられている。
吹き抜けの先生のアトリエ、瑠璃と湊人がよく行く吊り橋のある公園。
画材の種類と用途、そして色の名前の多いことに驚かされた。
確かにADHDの人は生きづらいだろう。
だが、自分の話ばかりする人って結構いるし、我儘や嫉妬深い人だって五万といる。そういう特徴的な部分が顕著に出てしまっているが、彼女に近い人は実はあちこちに転がっている。
人はみな感情をコントロールすることに苦労する。
きっと同学年のみんなね、自分の世界の中で折り合いをつけていくのに必死なの。
だから異質と感じたことに容赦ない。自分たちはイヤでも周りに合わせているのに、なぜあなた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!受け入れてくれる人がいるから、また頑張れる。
図書館で絵を描いている女の子、瑠璃。彼女は中学生の頃、学校に居場所が無いと感じて、それ以来不登校になっていました。
だけどそんな瑠璃の絵の才能を、認めてくれる男性が現れたのです。瑠璃は彼のすすめで、本格的に絵の勉強を始めていくのですが……
本作の大きな特徴が、主人公の瑠璃が注意欠陥・多動性障害であること。学校に馴染めずに不登校になってしまったのも、これが原因です。
事ある毎に落ち込んだり怒ったり、感情の起伏が激しい瑠璃。だけど絵を習っていくことで、そして兄弟子の男の子と出会うことで、そんな瑠璃も成長していくのです。
人とは違い、周りに馴染めないと言うのは苦しいです。
だけど上手くいかない…続きを読む - ★★★ Excellent!!!怒って、拗れて、落ち込んで。その先にあるものは?
注意欠陥・多動性障害(ADHD)であり、学校には行かず図書室で絵を描いている少女、瑠璃。
ADHDと言っても、どう言うものなのかよく知らない人もいるのではないかと思います。簡単に言えば、注意力や集中力、感情と言った部分をコントロールする力が弱く、それが問題となって現れる事を言います。
細かな事は本編で語られるのでここでは省きますが、瑠璃のそれは、対人関係に与える影響も少なくなく、先にあげた、学校に行っていないと言うのもそこに起因したいます。
ですがそんな彼女に転機が訪れ、絵画教室で本格的に絵を習う事となります。
そこで語られる絵や画材道具の説明が驚くほど豊富で驚かされるのですが、それ以上に…続きを読む