群青のアトリエ

作者 如月芳美

57

20人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

主人公の瑠璃は、不登校になって以降図書館で絵を描いて過ごしていた。
そこで出会った男性に惹かれ、絵を習い、同い年の少年という相棒に出会い、そして・・・・・・

この物語はADHDの一例について描かれています。
瑠璃の心の内を見ながら、それについても考えさせられてしまうかもしれません。

彼女は受け止められる人がいたからまだいいが、もしかすると、ずっとぼっちだったかも。
そしてそれをどう取るかは・・・・・・


共通設定のある対決作品との事で、相手側も読むとまた違った面白さがあると思いますよ。
ぜひ一度読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

創作することは、自分の外側にある多くのものの中から必要なものを選び取り、濃縮してフレームの中に映し込むこと。
知識、経験。それらから受けた感情や感覚を、自己のフィルターを通して取り込み、咀嚼して形にすること。

この物語の主人公は自分の見えている範囲が自分の全て。フレームの外側を想像できなかった。
しかし、これまで見えていなかった枠の外に思考を広げることで、彼女の目指す「絵描き」に近づいていく。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)。
それは彼女が生きていく上でのハンデかもしれない。だが、この世にハンデのない完璧超人など存在しないのだ。
どんな人物でも何かしらの欠点を持ち、しかしそれと折り合いをつけながら生きて行く。欠点は個性になり得るのだ。

主人公はADHDの診断を受けるのが遅れた。
幼い頃に診断されていれば、彼女が学校をドロップアウトすることはなかったかもしれない。
しかし、彼女には素晴らしいギフトが用意されていた。
色の居場所を把握する能力。色のトーンを把握する能力。
彼女はわずか三歳で、十二色のクレヨンを輪のように並べて色相環を作ってしまったのだ。

秀でた能力も周りが気づいてサポートしなければ潰されてしまうだろう。
しかし彼女はチャンスを掴む。
絵を描くために通っていた図書館で、一人の画家と出会ったことで。

全五十話のうち前半は、主人公の瑠璃が様々な画材にチャレンジすることに終始する。
ただそこに重ねられるのは、移り気な瑠璃の性格。
教室の先輩である湊人との衝突でも彼女の生きづらさが示される。

後半は思春期である瑠璃の感情が重ねられる。
不安定な心はフレームの外側を想像出来ずに、自分を悲劇の主人公にして自家中毒になっていく。
ただ、コミカルな恋愛要素が入ることでドライに話は進む。
噛み合わない青い恋模様に笑わされているうちに、瑠璃は次第に成長していくのだ。
続きを読む

★★★ Excellent!!!

細かく指定の入った設定内とは思えないほど、のびのびとして面白いラブコメだった。
正直、絵の専門用語などは難しくちょっと分からない所もあったが、その「ちょっと」加減が、想像力をかき立ててくれた所もある。
学生の恋愛もの(いわゆる青春もの)にはあまり共感出来ないたちだが、不思議と如月節には共感出来る。
そんな独特の語り口を持った作品だった。

★★★ Excellent!!!

ADHDがどんな性質であるのか。
本作の瑠璃はその一例で、他の要素を持っていたりもする。
だからその症状を持つ人を表す全てではないのだけど、知るきっかけや、理解していこうという歩み寄りのきっかけになると良い。そう思えるほど、生き生きと瑠璃の物像が見えるように描かれている。
どうしてそういう行動に出てしまうのか、と。

この物語はその発達障害を知るきっかけになるだけでなく、周りを取り囲む人々がまた一人一人生きているように感じる人間ドラマも描かれている。恋愛要素にハラハラさせれる作品でもあり、画材にも詳しい知識の広がる作品でもある。

瑠璃が自分自身と向かい合い、人の中に溶けあっていく。
そのきっかけをくれた周りの温かさが心地よい。
心温まる、ハッピーエンド。ぜひ味わってほしい。


素敵なレビューが並ぶ中でも書いてしまうけれど、個人的には湊人が大好きである。
まんまとキュンキュンさせられました。

★★★ Excellent!!!

図書館で絵を描いている女の子、瑠璃。彼女は中学生の頃、学校に居場所が無いと感じて、それ以来不登校になっていました。
だけどそんな瑠璃の絵の才能を、認めてくれる男性が現れたのです。瑠璃は彼のすすめで、本格的に絵の勉強を始めていくのですが……

本作の大きな特徴が、主人公の瑠璃が注意欠陥・多動性障害であること。学校に馴染めずに不登校になってしまったのも、これが原因です。
事ある毎に落ち込んだり怒ったり、感情の起伏が激しい瑠璃。だけど絵を習っていくことで、そして兄弟子の男の子と出会うことで、そんな瑠璃も成長していくのです。

人とは違い、周りに馴染めないと言うのは苦しいです。
だけど上手くいかないことばかりでも、受け入れてくれる人がいるから、ちゃんと向き合ってくれる人がいるから頑張れる。そんな前向きな気持ちになれる作品です。

★★★ Excellent!!!

注意欠陥・多動性障害(ADHD)であり、学校には行かず図書室で絵を描いている少女、瑠璃。
ADHDと言っても、どう言うものなのかよく知らない人もいるのではないかと思います。簡単に言えば、注意力や集中力、感情と言った部分をコントロールする力が弱く、それが問題となって現れる事を言います。
細かな事は本編で語られるのでここでは省きますが、瑠璃のそれは、対人関係に与える影響も少なくなく、先にあげた、学校に行っていないと言うのもそこに起因したいます。

ですがそんな彼女に転機が訪れ、絵画教室で本格的に絵を習う事となります。
そこで語られる絵や画材道具の説明が驚くほど豊富で驚かされるのですが、それ以上に印象に残ったのは人間関係でした。
瑠璃より先に絵画教室に通っている少年、湊人がいるのですが、彼とは衝突してばかり。と言っても、ほとんど瑠璃が一方的に怒ったり落ち込んだりしているのですけどね。
そんな事になったのも、瑠璃にあるADHDの特性が大きいのですが、対人関係のトラブルと言うのは、同生涯を持っていない人だってもちろん起こり得ますし、「ADHDなんだからこれでいいんだ」なんて話でもありません。周りにフォローしてもらう事はあっても、最終的には自分で乗り越えなくてはならないのです。

新しい世界の飛び込んで行った瑠璃が、そこでどんな関係を築いていくのか。彼女の成長を見届けてください。

★★★ Excellent!!!

如月芳美という人物とどのような形で繋がりを持ったか、正直覚えていない。ただ、最初は本を1冊出しているということから、相当な物書きだと思っていた。

時間が経過するにつれ、だんだん彼女とは親しくなっていたが、作品は1つを除いて読んでいなかった。単に僕が文を読むのが苦痛だからである。というか、ADHDというのも要因の1つかもしれない。

主人公の瑠璃も発達障害、ADHDの当事者である。高校に行かず、図書館で絵を描いている女の子だ。

ADHDという単語自体が大分メジャーになってきたが、ただメジャーになっただけで、当事者への理解はまったく進んでいないどころか、僕は逆に悪化している気がする。

なので、この作品を僕はもっと多くの人に読んで欲しいと思った。

物語の起承転結は完璧で、ちゃんと読者が飽きないように2,500文字程度で1話を完結させている。次を早く読みたくなる。

そして、展開もドラマチックで自然だ。不自然さがないのが不自然なくらい自然だ。

なによりも、ADHDへの造詣が深くなることが最大の魅力である。そのようなハンディキャップを負ってでも、ちゃんと前を向いて生きなくてはいけないというメッセージ、もしくは願いが込められている。

僕はこの作品に出会えて幸せだった。自分への叱咤にもなった。感想の欄で、特に感想も書いていないが、とにかく1度読んで、こういう人もいるんだ、 と頭の片隅に置いてくれれば幸いです。