群青色の空に叫ぼう!


印象的なシーンが絵画のようにちりばめられている。
吹き抜けの先生のアトリエ、瑠璃と湊人がよく行く吊り橋のある公園。
画材の種類と用途、そして色の名前の多いことに驚かされた。

確かにADHDの人は生きづらいだろう。
だが、自分の話ばかりする人って結構いるし、我儘や嫉妬深い人だって五万といる。そういう特徴的な部分が顕著に出てしまっているが、彼女に近い人は実はあちこちに転がっている。
人はみな感情をコントロールすることに苦労する。

きっと同学年のみんなね、自分の世界の中で折り合いをつけていくのに必死なの。
だから異質と感じたことに容赦ない。自分たちはイヤでも周りに合わせているのに、なぜあなたは自由なの?という視線。

でも、主人公瑠璃が逃げざるを得なくなって、連れ出してくれる人がいた奇跡。
発達障害を持っていても、人として本気で接してくれる人がいたことの輝き。
ただ当惑しているだけではなく、近づいてくれた。それは彼女に、すきなことにまっすぐ進む魅力があったから。

人は誰しも居場所を求めて生きていくような気がする。
居心地がよく安住の場所なのか、挑戦し続ける試練の場所なのか。
自分が何を求めているかによって、選ぶ場所が違ってくるかもしれない。

読み進めるごとにプレゼントが隠されているみたいに、二重も三重ものパイ生地で包まれている物語。
ラストにお約束のラブコメ具合、すっごく可愛かったな。

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