女郎宿で生まれた男の子。
もう始まって一行目でドラマチックなんですね。
物語は物語ならではの「現実とは思えない」活躍譚が好みなので、もう一行目から夢中です。
平凡なエピソードはひとつとしてなく、次が気になる引きが強い。
そんな物語がよく映えるのは、登場人物たちの生い立ちや決意、「生き様」がとりどりだからと感じました。
女装男子、癖のあるお嬢様、熊殺し、有名絵師、小物から大物の悪役に至るまでひとりひとりの魂がある。
彼らがそれぞれの矜持でもって動くから、物語がよりドラマチックになる。
楽しませて頂きました。
ドSが大大大好きなので、総攻めのはずの自分も悠介に惚れ込みました。
嫌だよ悠さん……悋気はよしとくれ。
あたしゃ本命は悠さんだよ。(小指を噛みながら)(黙れ)(なんかすまんw)
女郎宿で生まれ、廓の中で育った少年、悠介。
しかし母の死とともにそこから飛び出し、新しい世界に飛び立つこととなりました。
そして、彼の世界を広げるターニングポイントがもうひとつ。
ふとしたことで出会った、大名主の娘、お奈津。
天と地ほど身分の違う二人ですが、お嬢様と使用人として過ごしながらも、悠介のことをとても慕い、一人の人間として信頼していきます。
そして、ずっと心に秘めていた、やりたいことを打ち明けるのですが……
ここまで書くと二人が恋仲になりそうな雰囲気ですが、そういう関係にはなりません。
ですが恋とは違っていても、同じ志をもつ同士として、見事な相棒感を出しているのです。
ならば、そんな二人が揃って何をするのか。
それこそが、お奈津のやりたいことと重なっていくのですが、それは見てのお楽しみ。
まだ幼い二人には、いったいどんな苦難と冒険が待っているのでしょう。