概要
解雇の理由に疑問を持つ殺し屋の下へ、彦左衛門殺しの依頼が来る。
ところがその後、依頼主が標的を天神屋の手代と女中に変更して欲しいと言い出して……。
『柿ノ木川話譚』第三弾。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!殺し屋の矜持。
作者さんが描かれる話譚シリーズ第三作!
これはまだ「枝鳴長屋」ができる前のお話で、主役は漬物石と呼ばれてる凄腕の殺し屋「栄吉」です。
シリーズを通して読んでいる方にはニヤリとする描写もあれば、このシリーズから読んでも面白い作品に仕上がっている作者さんの手腕はやはり本物です。
物語は大店の呉服屋「天神屋」が舞台。ある日、栄吉は天神屋を馘にされた番頭をゴロツキから助けます。番頭から話を聞いてみると何やらおかしい。四十年も真面目に働いててきた番頭をあっさり馘にするなんて、どう考えたって呉服屋の旦那はおかしすぎる。
さらにはこの番頭を消して欲しいとの依頼まで来て……。
殺し屋とはど…続きを読む - ★★★ Excellent!!!流儀
そこのあんた、通り過ぎるくらいならちょっとあたしの話を聞いていかないかい。
興味ない? まあそう言わないでさ。人の話を聞くってのは無駄になることは無いよ。大概ね。
殺し屋って知ってるかい? あたしの知り合いがそうなんだけど。名前は物騒だからやたら無骨な情なしと思うだろう。
でも職となればどんなことだろうと流儀ってもんがある。殺し屋は情じゃ動かないかもしれないけれど、愚物を仕分ける理性はあるさ。
自分の職に賭けてやる仕事ってのもある。職は「自分」だからね。自分が曲がる仕事を受けると思うかい?
表にかけとくだけの職なんて碌な結果にはならないよ。番頭も、大店も、遊女も、殺し屋も。
心根あってその…続きを読む - ★★★ Excellent!!!柿ノ木川話譚 時代劇シリーズ第参弾
よう、そこの。天神屋の話を知ってるかい? なに、天神屋てのが何なのか知らねえってか?
えらく刻も経っちまったしなぁ、知らねえ奴が出てくるのも無理はねえか。
其れなら、噂の方は知ってるかい? 噂だよう例の、そこにある長屋ができた成り立ちの。え、そんなもん話てどうすんのかって? へへ、おもしれぇと思ったら飯を奢って貰おうかってね。いや、頼むようちのかかあと喧嘩しちまって飯食わして貰えねえんだ。お、おもしれえかどうかはそこの漬物石みてえな夜鳴き蕎麦屋の前で判断しようってかい?
絶対におもしれぇからよ。おう、ついでに蕎麦屋のダンナにも判断して貰おうじゃねえか。面白かったら奢りの蕎麦は二杯だぜ?
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