荒野のポロ

「日本って国はさ、ちょっとお隣の国へ行くにも仰々しい手続きが必要なんだぜ。だから、こっちの年からあっちの年へ渡るのだって、特別な儀式があるのさ」 な〜んて会話があったかどうかは、…続きを読む

単身赴任は束の間の自由か、それとも孤独か。 いつもひとり、でもそうでもないのは、温かさを届けてくれる赤と緑の優しさの為せる技。同じ温かさで腹を満たすのって幸せだなと改めて感じさせら…続きを読む

一人の部屋で噛みしめるように啜るカップ麺。そんな風にカップ麺と向き合ったことがある人はどのくらい居るんだろうと、ふと考えました。 ふわりと立ち上る湯気は、蜃気楼のようでも走馬灯の…続きを読む

『きつねの嫁入り』と聞いてよぎるのは、連なる赤い鳥居と白無垢姿。 子供の頃に二人でめくったカップ麺の赤い蓋。険しい階段も手を取り合って上り、遠くに見えた白い舟。 暮らしも将来も白…続きを読む

感じている魅力を緻密に分析し、言語化する能力。 これが常々感じる作者様の強みであり、本作は改めてそれを如実に実感できる温かいストーリーでした。 なんでも問題視すれば良いわけでもな…続きを読む

思い込み、食わず嫌い、味覚の変化。 何でも食べられるにこしたことはないけれど、どうしようもないこともある。 主人公のヒサシ君の子供の頃の思い出が、成し得なかったことへの無念が、青…続きを読む

しっとりと柔らかな語り口にいざなわれ、足を踏み入れたのは密やかに噂される、神社の不思議な泉。 そこで体験できるのは〈ちょっとした〉と言ってよいのかどうなのか唸ってしまう不思議なシ…続きを読む

残暑の森に踏み入って、思いの外冷たい水に足を晒すと子供の頃の他愛ない記憶が過ぎって笑みが溢れ、記憶と少し違って感じると大人になった、時間が経過したことを実感してなんだか切なくなる。…続きを読む

海外を放浪したりと、自分に正直に生きてきた。なのにいつの間にか人生の路地裏に迷い込んでしまったかのような有様。 『回想』を通して語られる人生は、明瞭ながらどこか胡乱で、変えようも…続きを読む

子どもたちが決まって向かうのは、鳥居の向こう側の診療所。 各々の湯呑を持って、お菓子を囲んだひと時を過ごすのは、いつも（ヒマだから）温かく迎えてくれる山吹先生の元で、街に流れる不思…続きを読む

王都に、日常に不意に降り掛かってくる『赤竜』という脅威。 長年これに立ち向かってきた男の第二の人生を描いた冒険ファンタジー ……タイトルと紹介文を読んで、そんな印象を持っていました…続きを読む

特殊な能力を持つがゆえに殺し屋稼業を担う主人公。今回の任地はブラジル。 日本からは遠い国でありながら、読み進めるほどに親近感を感じ、より踏み込んで知りたくなるエピソードは、滴るよう…続きを読む

病弱で本を読んで過ごした子供時代。 そのせいかちょっと大人じみた言動と嗜好が垣間見える主人公ケン。 小学五年生の夏休みに、山奥で鍼灸院を営む叔父さんの元で過ごすことになる。 体質…続きを読む

ある日、人工の揺蕩う大地に、瓶詰帆船が漂着する。見上げれば天井、目の前には暗い海、そしてガラクタばかりに囲まれる退屈な日々に、終止符を打つかのように現われた精巧な船。 何のために…続きを読む

先生と出会うに至った経緯は実にセンセーショナル。ただ、その衝撃的な出会いが、彼を先生の元に居させたというわけでもないのだろうと感じました。 「怪物を探す」とは一体どういう意味なの…続きを読む

ロンドンの夜の街を駆け巡るメッセンジャーボーイ、黒髪の大人っぽいヒューと金髪クルクル巻髪の天真爛漫なエドガー。良きパートナーの二人が、偶然見てしまった怪奇現象と、邸宅で起こる不審死…続きを読む

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軽い気持ちで
立ち寄って
むさぼり読んだ
自戒記念日

虫、虫、虫……と無数に集まる蟲。 地球上の生物の中でも膨大な種類を誇る虫。 人によって好き嫌いが二分される対象ではないでしょうか。 作者様は虫好きなのかなと思ったら、全くの逆だそう…続きを読む

現時点で公開中の第10夜まで拝読し、レビューいたします。 作者様ご自身の経験や興味をベースに軽快にざっくばらんに語られる「コラム」。 シカゴ・トリビューンのコラムニスト、マイク・…続きを読む

柔らかな発想で紡がれる言葉から音楽が 聞こえてきます。軽快でポップながら、 時に切なく、時々に二度見してしまう。 度々宇宙にも飛び出そうとしますし、事 件性もありますが、これが微視…続きを読む

圧倒的な漢字の渦に飲み込まれる心地よさをお求めなら、是非『九泉伝』を。 生きるために不可欠な水を供給する泉。その泉と運命を共にする少年王。 人にとって有毒である霧に包まれた山岳地…続きを読む

確かに熱は在るのだろうけれど、束の間に沸いたように見えても、すぐに冷めてゆく。そんな低温域の胡乱な熱交換を描いた素晴らしい文学作品です。 サーモグラスの硬質な縁取りを介して視たか…続きを読む

世の生き物の増殖方法は多岐に渡ります。 この作品では人間も過去に試したかも知れないと思わせる方法が物語として綴られています。 もしかするとまだ試していないだけかも知れない可能性と…続きを読む

手元の窓には神様がついている。これはそんなお話。
自分は手の中の窓に、どんな神様を見ているだろうか、と考えさせられました。
また心を鷲掴みにされるような作品でした。

ガラガラの電車の中で知らない人に密着される怖さってコレのことなのだ。 この季節にこんな話を持ち出すなんて（褒め言葉） 怖すぎて外出も在宅も不可。底知れぬ怖さが謎と共に残る。 ホラ…続きを読む

間や息遣い、耳に響く音。 ただぶつかり合うからこそ生命が輝いて見える素敵な作品でした。 こちらは『生きた人間』の闘いのシーンを描くためのバイブルです。 三つ、特に素敵だと感じたシ…続きを読む

寒村に舞い降りたのはツグミ。越冬のため冬季に日本に飛来する鳥です。 全体的に黒味を帯びつつ褐色の羽が特徴的なスタイリッシュで凛々しい姿。 山深い環境、そして閉鎖的な人間関係に絡め…続きを読む

芸術家のじいさんと猫の交流に始まり、知恵の輪を紐解くように世界の姿を眺めてゆく。オモテウラを巡るようなジェットコースターに乗っているうちに、いつの間にか様々な次元を巡り、最後にはそ…続きを読む

一話更新されるごとに、じっくり読ませていただきました。 こちらの作品に描かれているのは、「恋愛」というドアの覗き穴から見た『人間味』の一側面。 「恋と苦味」 この深い関係を知っ…続きを読む

こちらのショートショートを二段構えで楽しませてもらいました。 ①１話ずつチビチビと味見　②フルコース再読 再読したので、お気に入りエピソードを３つ挙げつつレビューを記します。 【…続きを読む

こちらは作者様のロックバンドへの愛情が濃密に凝縮された作品です。タイトル、章構成、エピソード、どれをとってもロック好きにとっては垂涎三尺のはず。 ただ……わたしは絶望的に音楽に疎…続きを読む

「忍者」と「魔女」は何れも振る舞いや絵的なイメージが、それなりに確立した存在でありながら、「影にひっそりと居る」ような印象がある。 表舞台で社会全体を大きく動かすのではなく、土地…続きを読む

こちらの童話は美しい娘とオタリアの青年の一途な恋物語。 誰にも邪魔されずに幸せに、などということはなく、特に娘に悲劇が降り注ぐ。 愛情深い両親、意地悪な人、好奇の目で見る人、悪辣…続きを読む

むかしむかし。これはほんとうにあった……なのじゃ。 嫉妬、自尊心、羞恥、羨みといった人が混ざると巻き起こる感情の渦。 これは人が人である限り、繰り返される歴史であり、もはや人であ…続きを読む

はじまりから終わりまで夢見心地のまま揺蕩う酔歩。 これは夢であると思いつつもどこか現実的で、五感を越えて刺激される。 この旅の終着点は夢か現実か…… タイトル、キャッチ、紹介文の…続きを読む

こちらはシュルレアリスムを体現する美術館です。 出口はありませんけど、怖くありませんから。 どうぞ深部へ。 今ちょうど、＜名も無い人物＞の作品展を開催中です。 いいですか。これが現…続きを読む

腹に宿る知的生命体。それが胎児である。 自他について感じたことを語る名もなき胎児は、好奇心旺盛で思慮深い。 平坦な語り口に包まれる感情は非常に豊かで、その言動は機知に富む。 外界…続きを読む

一気読みしましたが、怖い……
主人公の心理の緩急に呑まれて、引き込まれました。
意外な結末をどう感じるか。
わたしは怖さの余韻が残ったままでした。

ラブコメジャンルですが、コメディ要素よりも、恋愛模様がしっかりと描かれている作品だと感じました。恋愛初期の高揚や昂り、不安や落胆、焦りなどがバランスよく展開します。 主人公の雷五…続きを読む

コスプレは仮の姿。では普段の貴方の格好はどうですか？ 多くの人が己の真の姿を偽り、本当の強さを誤認し、覚悟のないまま生きている。 これはそんな理を暗に仄めかす秘伝の書。 そう唆さ…続きを読む

こちらのエッセイを読んで、ちょっと自分の行動を変えてみた。 そして再読したので改めてレビューを書いてみようと思います。 読んだことで、こんな風に『意識・行動が変わった』という視点…続きを読む

『並行世界』を垣間見たことがある人は、実はいくらでもいるのではないでしょうか。 多くの人が、その事を認識するきっかけが無かったり、気のせいだと視なかったことにしたりするだけで。 視…続きを読む

森で行き倒れていたジュールとブルジョワ育ちのヤン。 二人が親密な仲になるのにそれ程時間はかかりません。 ただし、この作品は「純文学」です。 同性の二人の関係がプラトニックではない…続きを読む

驚異に対する行動は、動物なら「逃げる（攻撃を仕掛けるのも回避するため）」、植物なら「状況に応じて自身を変える」。 最終的に生き残り再生を担うのは、恐らく植物でしょう。 人間も進化…続きを読む

こちらはオンラインで充実した＜文化＞話を展開してくれる講義です。 興味を唆られる話題の選択は勿論、その展開や関連付けなど素晴らしいの一言に尽きます。少しのきっかけで、もっと知りた…続きを読む

久しぶりに再会したアリッサムは可愛すぎる幼馴染。 アスターは奔放な振る舞いをするアリッサムに振り回されながらも、スレスレの所で自分の本当の気持ちを二重三重どころか四重五重と殻を被…続きを読む

この物語の主人公は奔放で、突き抜けていて、誇り高い女性マカレーナ。 物語の序盤はマカレーナの妹分、特にダニエリの行動や言動にハラハラしたり、応援したくなります。 勿論その気持ちは…続きを読む

革靴を後生大事に抱えたホームレス、もとい紳士エルウィンが出逢ったのは二人のヒロイン。 シングルマザーのジャニスとその愛娘モリー。 奔放なモリーに振り回されつつも、お城の中の個性的…続きを読む

ひっそりと佇み、馴染みの客を待つでも呼ぶでもなく、ただそこにあってくれるくれる心地よい空間。それが「居酒屋 橙ning」 家に帰る前にちょっと寄って帰りたい、何故なら確実に舌と心…続きを読む

フリーターをしながら占い師業を営む主人公・一茶は、控えめながら芯のある人物。 授かった『賢者の手』はその能力を行使する代償は決して生易しいものではなく、諸刃の剣そのもの。しかし一茶…続きを読む