虫、虫、虫……と無数に集まる蟲。地球上の生物の中でも膨大な種類を誇る虫。人によって好き嫌いが二分される対象ではないでしょうか。作者様は虫好きなのかなと思ったら、全くの逆だそうで、確かにこの視点、この筆致は苦手だからこそ生み出せるものかもしれないと感じました。こちらの作品は「虫って悍ましいんです」という主旨ではなく、「虫と人の関係は深いのではないか」ということを考えさせてくれる素晴らしい作品です。虫好きの方はもちろん、そうでない方も読んでみてほしい。ただ恐れて無視しようとしていただけの貴方も、虫との向き合い方が変わるかもしれませんから。
子どものころ、アリをブチブチつぶしていた経験巣を壊したとき、クモが恨めしそうにしている気がした経験そういう誰しもが経験したことがあるであろう日常が短編ホラーに華麗に落とし込まれた、作品集だと思います。個人的には、チョウの話が映画『コレクター』を想起しつつ。うわって声出して読んでしまいました。
町中はもちろん、家でも見かける虫。はたして彼らに、恨みや憎しみを抱く心があるのかは、定かではありません。ですが、感情を持ち想像できる人間は「それ」を自身の中で膨らませる場面がありますね。善行を受けた虫から、ひょっとしたら救いがあるのでは?もしくは、自分の悪行の先に待つ、虫がもたらす未来は、と……。本作を読んでもし「視線」を感じたら、そこには異様の蟲がいるのかもしれません。
虫と人との間に類似性が認められ、ちょっとゾワっとしました。ぜひ、ご一読を。
無邪気といえば無邪気な子どもの残酷さ。 遊びで、好奇心で、憂さ晴らしで。そして、見た目が不気味、気持ち悪いというだけで。いとも簡単にその命を奪う人間。 誰もがひとつは心あたりがありそうな、虫をテーマにした掌編ホラー集。ゾワゾワ感が尾を引きます。
子供時代を思い出します。虫たちに対しては、恐ろしく残酷でした。虫たちも、自分と同じ命を持つ仲間と思えば、違っていたかもしれません。考えさせられる作品です。本質的に、いじめ行為につながるものがあるように思えます。子供たちにも読んでもらいたい作品です。
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