気持ちが和むときだって多いのだ。

作者 愛宕平九郎

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★★★ Excellent!!!

主人公、岳人は、まるで、難しい病を抱えたお年寄りを背負って、山を登るかのような環境に置かれている。

だが、彼は病を毛嫌いしない。

赤と緑を勘違いをしているのを否定もしない。

寧ろ受け入れている。

こんな優しい若者になりたい。

是非、岳人のあたたかさに触れてください。

★★★ Excellent!!!

 超高齢化社会が進むにつれて、深刻化していくであろうヤングケアラー問題。
 他の大勢の学生たちとは大きく違う青春。
 キラキラしたものでは無いし、泣きたくなるような虚しさが一杯だけれど、それでもささやかな喜びを見つけて笑うことを忘れない。
 そうやって、静かに自分自身を形づくろうとしている思春期の少年たちの様子が、鮮やかに描かれています。
 
 最後の一文が切なくも温かいです。

 作者の優しい眼差しを感じる作品。是非ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

確固たるアイデンティティを持つティーンエイジなんていない。

これが私だ、と胸を張るには、世界は狭いし、知識は限定的で、与えられた責任も追わされた義務も、吹けばふわりと舞い上がってしまう羽毛みたいに、軽い。

主人公、岳人も然り。

それでも彼は、素晴らしい才能を持っている。
当たり前だとみんなが語る価値観に、違和を感じる嗅覚。
その違和感を無視しない、自覚のない勇気とか、強さ、みたいなもの。

そんな才能は、どんなことでも、幸せに変換することのできる尊さを、必ず、携えている。

そしてそういう強いひとは、同じような強いひとを惹き寄せる。
例えば、鉄也のような。

アイデンティティの確立されてないティーンエイジたちが、こぞって“みんな”に流されるなか、岳人も鉄也も、確信のない違和感を、決して蔑ろにしない。
だから、輝いて見える。
その尊さを、教えてくれる作品。

とはいえ、物語の中じゃない現実で、本当にそれを実践するのも、そもそも気づくことも、困難だ。
だからこそ、十代の皆さんに是非読んでほしい。
読んで、何かきっかけを、きっかけだけでいいから、掴んでほしい。
そう、思わせる作品。





・・・ん?
鉄也?

★★★ Excellent!!!

感じている魅力を緻密に分析し、言語化する能力。
これが常々感じる作者様の強みであり、本作は改めてそれを如実に実感できる温かいストーリーでした。

なんでも問題視すれば良いわけでもないし、周りの人が楽しんでいることだけが楽しみでもない。誰かが言っている価値観よりも、自分目線の等身大の幸せを。

お婆ちゃんと親友と天ぷらと。いつもそばに。

★★★ Excellent!!!

この物語の主人公は高校生ながら、行方をくらました両親に代わって老いたお婆ちゃんの介護をし、「緑のたぬき」を食べる時間に癒しを感じています。
この「緑のたぬき」を食べる描写が本当に美味しそうで、一見辛い生活の中にも豊かさがある事を、読み手にもしみじみと感じさせてくれます。
お婆ちゃんと二人の生活にも、主人公はそれなりに満足しているようで、この感覚は実際に介護経験のある私にも「わかる」と思いました。
日に二回カップ麺を食べる生活を「悲惨」ではなく「背徳」と言ってしまう感覚。
貧困に慣らされている、とも言えるかもしれませんが、カップ麺を「ごちそう」と感じるのは私達にとってまさにリアルそのものです。
社会問題を取り上げつつ、外から見たら「悲惨」な現実の中の煌めきや温もりを掬い上げた、文学の王道を行く珠玉の作品だと思います。