頼りになる不思議な少女と貧乏でお人好しすぎる先生のわらしべ長者?物語

子どもたちが決まって向かうのは、鳥居の向こう側の診療所。
各々の湯呑を持って、お菓子を囲んだひと時を過ごすのは、いつも(ヒマだから)温かく迎えてくれる山吹先生の元で、街に流れる不思議な噂話をするため。
とりわけ彼らの興味をくすぐるのが『妖怪』にまつわる話題で、吸い寄せられるように山吹先生の元に何かと困った妖怪たちが集まってきます。

こちらのクリニックの先生は、天然・毒舌の物腰柔らかめで、純真と無自覚の狭間を揺蕩う基本良い人です。が、人情厚いものの毎月の支払いに頭を抱えていて、いつもそばに現れるクロコというしっかり者の少女になんだかんだ救われています。

ずり落ちた眼鏡をツッーっと上げつつ、診療所を訪れる妖怪たちを分け隔てなく治療する山吹先生と、毎度衣装を変えて登場し、先生の助手(特に資金面で)として駆け回る可愛らしいクロコの微笑ましい関係は必見!

近所の子供達や昔からの馴染み、町医者としての町の人達との関係、どれもこれも人間味が溢れていて楽しいのですが、特筆すべきはユニークで憎めない、なおかつどこか可愛らしい妖怪たち。特徴もネーミングもウィットが効いていて面白いのです。

しっかりと噛み合った歯車のような一連の物語の構造は読みやすく、次に登場するであろう妖怪をワクワク待つような気持ちにさせてくれます。こちらの妖怪図鑑を紐解けば、きっとお気に入りの妖怪に出会えること間違いなし。

是非、お楽しみあれ♬

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