すこし不思議なクリニックで繰り広げられるハートフルな現代ファンタジーです。
このクリニックには優しい先生がいて、先生が大好きな女の子がいる。
笑いあり涙ありほっこりあり。ここに集まる少年少女や妖怪たちも本当に魅力的で、ほのぼのとノスタルジックな気持ちにさせてくれました。
言葉遊びもお上手で、ストーリーの軸になったり空気を和ませてくれたり、巧みな小道具となっています。エンディングシーンもスリリングかつ幻想的で素敵でした。
おまけの「モノノ怪クリニックの誕生秘話」には、カクヨムで執筆を続ける同志たちへの秘めたメッセージも込められています。
カクヨムに帰って来て良かった。素敵な出会いをありがとうございました。
七ツ闇クリニックは、とある事情からいつも閑古鳥が鳴いている。そこに住む町で唯一の医者、山吹先生は、物腰柔らかで腕も良い。普通なら評判も良くて頼りになる診療所のはずなのに、町の人は近所の子供以外誰も寄り付かない。なぜならそのクリニックには、物の怪が出ると噂があるからだ。
患者がいないのは、みんな健康な証拠と山吹先生は言うけれど、診療所はいつも赤字。さすがに先生も参ってしまう。そんな先生を支えるのは、不思議な雰囲気を纏う少女、クロコ。彼女もまた秘密を持っていて、影から先生をサポートする姿が可愛らしいです。
人間の患者が来ない代わりに、先生の元を訪れる個性豊かな妖怪達との騒動はとても楽しく、温かい気持ちになれます!
懐事情が厳しい山吹先生は、時折ちょっと腹黒な一面も覗かせるけど、根は優しくてお人好しなので、そんな人間臭さも魅力的です。
こんな診療所があったら行ってみたい!
ぜひ、読んでみてください!
訪れるのは子どもとモノノ怪ばかり。
だから万年金欠の山吹先生と、そんな先生を慕い支えるクロコさんの二人が語ってくれる本作は、兎に角読んでいると温かい気持ちに包まれます。
持ち込まれる事件は厄介事ばかり。
でも、山吹先生とクロコさんの手にかかれば、あるべき最高の形で解決されていきます。
そして、親切は巡り巡って、次の事件を助けてくれるんです。
私達が日々の忙しさの中で忘れがちな、思いやりや待ちの姿勢。なんとかなるさ、というおおらかな気持ちを持ち続けている山吹先生がとても魅力的で、ずっとその眼差しに見守られていたいと思ってしまいました。
その一方で、子どもの頃のような純粋さを失わず、ちょっと抜けていて超がつくほどのお人好しでもあるので、ついつい放っておけなくて、役に立ちたくて試行錯誤するクロコさんの気持ちもわかります。
完璧で無いから、助け合える。だから互いに感謝しあえる。
そんな素敵な絆を見せてくれる優しい物語です。
是非皆様も、癒やされてください!
お勧めです!
モノノ怪クリニック。それは常に赤字で、時々「出る」と噂のクリニックなのである……。
実際にあったら心霊スポットとしてそれこそ黒字に乗りそうですが、ひとまずそんな場所の話。
堂々と主役を張る貧乏人でお人よし・山吹先生と黒子役に徹しつつもかなりの存在感を放つ経理・クロコ。
この二人で前編後編を担当しているわけですけど、集う妖怪たちとのやり取りのさぞ面白いこと。ユーモアも抜群で、一目見てクリニックに通ってしまう羽目になります。
連作短編としては本当に優れた作品で、点がつながって線になる、それが面になり、さらには立体化していくような面白さがあります。
なんで、ひとまず、最後まで読んでください。絶対に最後まで読んでください。それだけです。出ないと、化けて出るぞー??
素晴らしい読後感で、すっかり虜になりました。
神社を改良した診療所『七ツ闇クリニック』の山吹先生は妖怪が見える医師。
そのせいかこの診療所にやってくるのは妖怪たちばかり。
物の怪がでるという噂のせいで人間の患者が来てくれなくて、人間で来てくれるのは妖怪を見てみたいと思って診療所に遊びに来る小学生達だけという困った状況。
人間の患者が来ないので、山吹先生といつもそばで山吹先生を心配している少女クロコは、常に金策に頭を悩ませている状態なのだが……
それでも……例えお金を払って貰えそうにない妖怪であっても、目の前で苦しんでいたら助けてしまう、山吹先生はそんな人なのです。
日常の中で起こるちょっとした事件を山吹先生とクロコが解決していき、感動の最終回にうまく繋がっていくという、ちょっと楽しくなる物語です。
読むと心のコリをとってくれるようなそんなお話です。
そして、最終回では、ちょっと感動しちゃいますよ!
面白くて一気に読めちゃいますから、是非読んでみてくださいね!
心温まるとはこのことか――。
拝読しながら、もう何十年も前に中学の数学の先生がおもむろに口走っていた言葉を思い出すなどしました。なるほどこの作品にピッタリではないかと思います。
『感動は人に生きる力を与える』
そんな久しく忘れていた感覚が、読後しばらく私の心の内を優しく照らしているようでした。
以前『アトランティスのつまようじ』を拝読したときにも思いましたが、作者さまは因縁和合を描くのがとてもお上手といいますか、まず個別のストーリーが点在していて、次第に不思議な縁とでもいうべきものに導かれるように、偶然が重なり、いつかもっと大きな流れの中に、自然と別の物語が浮かび上がってくる。
和合の精神というのか、和輯あるいは和睦。そんな束の間の出会いに心を遊ばせる楽しさのある作品だと思います。
行き当たりばったりにしか書けない私からしますと、こればかりはある程度プロットの書ける人でないとそもそも描くことが出来ない。笑
プロットなしでも偶然が重なってということはありますが、終盤に向かって畳み掛けるようにとなると、やはりプロットが書ける人でないと難しいのではないか。
エンターテインメントを書ける作家さん貴重だなと実感する今日この頃です。
疲れたときについ覗きたくなるような、ほっと一息つける優しい世界。連作短編形式で綴られているので、忙しない日常の合間にも気軽に楽しめるのではないかなと思います。ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか🌸
患者さんは来ないけど、妖怪は来る、神社の中でひっそりと佇む診療所が舞台です☆
山吹先生は子どもにも妖怪にも優しいお医者さんなんですが、妖怪が出るという噂で、経営はいつもピンチ!
それを助けるのが、経理係みたいな役割のクロコちゃんです!
いつも赤字経営なので、先生にいつも口やかましく言い立てますが、心の中では先生のことが大好きな模様♡
そんなところどころ見せる乙女な一面がたまらなく可愛らしいです。
他にも個性的な妖怪や、妖怪に興味津々な子供たち。
彼/彼女らのやりとりが、ほっこりしていて、読んでいてとても楽しいです!
そして、最後は少しうるっとする場面も?
笑いあり涙ありの、ハートウォーミングな短篇集。
あなたの疲れた身体を癒やしてくれる、そんな心温まる物語です★
毎回毎回、山吹先生とクロコちゃんとの同じような会話で始まる日常の中で、可笑しなモノノ怪が登場して小さな事件が起きる。
昔の人達は、普通にこんな風にモノノ怪達と繋がっていたのかもしれない。もう私達の周りにはモノノ怪達はいなくなってしまったのかな?
数は少なくなってしまったかもしれないけれど、私達が彼らの姿を見ようとしなくなった、声を聞こうとしなくなっただけのようにも思う。
この物語を読むと、そんな姿を探し、耳を澄ませたくなる。
クリスマスやお正月、お花見の過ごし方も変わるかもしれない。
一つ一つのほっこりとした温かな出来事が、わらしべ長者のように繋がっていく物語。わらしべ長者のように?
結末はお楽しみに!
楽しい物語の中に、大切にしたいものが詰まっている作品です。
すでに沢山の方々から高い評価のある作品ですが、実際に読んでみると期待以上の面白さでした。
万年金欠病でお金を稼ぐことには不器用な山吹先生と、しっかり者のクロコちゃんのコンビがとても可愛らしいです。各エピソードの登場人物 (妖怪) たちもユニークなキャラクターが勢揃い。軽やかなテンポで小気味よく進んでいくお話。そして洒落のきいた言葉遊び。
まるで現代風な落語を読んでいるような楽しさです。
こんなクリニックなら、自分も妖怪になって山吹先生に診てもらいたい、なんて思います。(クロコちゃんの請求が怖いですが...)
最終話には豪華な展開もあり、笑ってほっと和める素敵な妖怪譚でした。
子どもたちが決まって向かうのは、鳥居の向こう側の診療所。
各々の湯呑を持って、お菓子を囲んだひと時を過ごすのは、いつも(ヒマだから)温かく迎えてくれる山吹先生の元で、街に流れる不思議な噂話をするため。
とりわけ彼らの興味をくすぐるのが『妖怪』にまつわる話題で、吸い寄せられるように山吹先生の元に何かと困った妖怪たちが集まってきます。
こちらのクリニックの先生は、天然・毒舌の物腰柔らかめで、純真と無自覚の狭間を揺蕩う基本良い人です。が、人情厚いものの毎月の支払いに頭を抱えていて、いつもそばに現れるクロコというしっかり者の少女になんだかんだ救われています。
ずり落ちた眼鏡をツッーっと上げつつ、診療所を訪れる妖怪たちを分け隔てなく治療する山吹先生と、毎度衣装を変えて登場し、先生の助手(特に資金面で)として駆け回る可愛らしいクロコの微笑ましい関係は必見!
近所の子供達や昔からの馴染み、町医者としての町の人達との関係、どれもこれも人間味が溢れていて楽しいのですが、特筆すべきはユニークで憎めない、なおかつどこか可愛らしい妖怪たち。特徴もネーミングもウィットが効いていて面白いのです。
しっかりと噛み合った歯車のような一連の物語の構造は読みやすく、次に登場するであろう妖怪をワクワク待つような気持ちにさせてくれます。こちらの妖怪図鑑を紐解けば、きっとお気に入りの妖怪に出会えること間違いなし。
是非、お楽しみあれ♬
舞台は「モノノ怪が出る」という噂のせいで閑古鳥の鳴く診療所。
妖怪が見える医者・山吹先生と、何か秘密のありそうな少女・クロコ、そして賑やかなモノノ怪たちの織り成す、ちょっと笑えてほっこり心の温まる短編連作です。
先生とクロコの毎度のやりとりもさることながら、登場する妖怪がみんな本当にいいキャラです。
私のお気に入りは、マシンガントークでノリツッコミする大阪のおっちゃんみたいな『ばったもん』と、ガラの悪いお雛様率いるヤンキー集団『雛々団』。
回が進むごとに馴染みのメンバーが増えていくのが、大変楽しいです。
1話ごとに綺麗にお話が帰結するため、少しずつでも読みやすいのが良いところ。
報酬として(?)手に入ったアイテムが、わらしべ長者的に次の回で活用されるのも、よく考えられています。
ラストの大団円は、とても感動しました。
がやがやと賑やかで、ドタバタ楽しくて、ほわほわと優しさに感動する、素晴らしい作品です。
多くの人が楽しめる物語だと思います。ぜひお読みください!
かつて神社があった丘の上に、今は小さな診療所がある。
ところがこの診療所、慢性的な『赤字経営』なのだ。請求書の束を抱え、今月末の支払いにも困るありさま。
なんといっても患者が来ない。
そればかりか、どういうわけか妖怪ばかりが集まってくる。
支払いに頭を抱えつつ、表面上は大人の余裕を見せようとする医師・山吹。
その手助けをする謎めいた少女・クロコ。
そして、あまりにも個性的すぎる妖怪たち。
そんなキャラクター同士のやり取りが楽しい。
***
主人公の山吹は、どこか気弱で頼りなく、裏では腹黒い本音を抱えていたりもする。
でも、腐っても医師。患者に対してはとことん真摯だ。
そして、底抜けのお人好しでもある。困っている者がいれば、自分が大損をするのも構わず全力で助けようとする。
そんな山吹のそばに寄り添うクロコは、どこか不思議な少女だ。
見た目は中学生くらいだが、頼りない山吹の世話をせっせと焼く。
山吹の不甲斐なさにため息をつきながらも、毎月のやりくりに頭を使い、ときには「治療費」の取り立てまで行うしっかり者。
そんな二人のもとに、入れ替わり立ち替わり妖怪たちが現れてはドタバタと騒ぎを起こす。
とても賑やかで楽しい作品だ。
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物語は、短いエピソードで区切られている。
それぞれ完結しているので、とても読みやすい。
そして、ちょっとユニークな構成になっている。
どのエピソードも、前半が山吹視点での「事件発生編」、そして後半がクロコ視点での「事件解決編」となっている。視点を変えながらも過不足なく事件の経緯が語られ、解決まで導かれる。二人の視点の違いも面白い。
また、物語の構成が実にうまい。
各エピソードにさまざまな妖怪が登場し、ポイントとなるアイテムが描かれ、しっかりとオチまでついている。しかも、その妖怪やアイテムが次の事件の解決に繋がってゆく。
見事な構成力に唸らされるばかりだ。
そして、最後の最後に、驚くべき展開がある。
まさかここで「あれ」が役に立つとは!
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他にも楽しめるポイントがたくさんある。
たびたびお菓子が登場するのだが、そのネーミングが面白くて、くすっと笑える。
また、「牡蠣を食べて当てよう!」というブラックジョークもニヤリとせずにはいられない。(※キャンペーンに当たる、食中毒になるというダブルミーニングになっている。)
そして、作者の知識の広さにも驚かされる。
「自在置物」や「ウグイスのフン」など、知らないことがいっぱい詰まっている。
妖怪という使い古された題材を扱いながらも、新しい世界を見せてくれる作品だと感じた。
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妖怪が好きな人はもちろん、心温まる物語が好きな人におすすめの作品。
できれば一日一話ずつ、ゆっくり読んでほしい。
印象に残っているのは、作中に出てきた「桜は一年に一度しか咲けない」という旨の言葉である。
その開花の一回一回がとても貴重なものに思える。そして、開花のタイミングに出会えることは奇跡のようなものなのかもしれない。
人と人との出会い、人と妖怪との出会い、作品との出会いも、奇跡のようなものだ。
ぜひ、作品をじっくり味わってほしい。
そして、山吹やクロコ、にぎやかな妖怪たちと一緒に、この素晴らしい結末を迎えてほしい。
妖怪たちと心通わすことができる、不思議な医師・山吹先生。
彼が経営する『七ツ闇クリニック』には、毎日妖怪たちと子供たちが賑やかに集います。
先生は、その相手をしたり問題を解決したりと大忙し。
それなのに常時抱える困窮問題。
何故なら、このクリニックには(人間の)患者が全然来ない!!
毎度毎度繰り返される、先生を慕うしっかり者女子・クロコとの「今月の支払いどうするんですか!」トーク。
お人好しかつのんびりすぎる先生と、常に金銭問題に頭を抱え続けるクロコとの「お約束」なやり取りは、何度読んでも安定の面白さ&安心感です。
おやつを要求する子供たちの訪問も、お金がない妖怪たちを診察する羽目になるのも、日常茶飯事。
でも、先生の持ち前の優しい人柄が、そこに惹かれるクロコの尽力が、いつの間にか幸運を引き寄せ、毎度なんとかなってしまう。
いいなあ、安心するなあ。
決して怖くはない妖怪たちと、人間たちの、温かな思いが全編通してあふれてきます。
ほっこりしながら楽しめる、人情妖怪奇譚。
思わずツッコミたくなる面白エピソードが満載です!!
全体的にほのぼのしていて、読んでいて楽しい連続短編でした。
主役の山吹先生とヒロインで実は妖怪のクロコちゃんをはじめ、出てくるキャラすべてに愛嬌があってとても魅力的なやつらでした。
物語の流れにきっちりお約束が作りこまれているのが、何気にすごいと私は思いました。
さらに、短編でありながら、問題の解決に必要なキーアイテムやヒントは、その前に語られたエピソードの中にあるという、巧みな構成になっており、作者様の物語を練りこむ技術の高さを感じました。
ほのぼのしたり、笑えたり、ときにホロリ。
物語を楽しむ上での様々な要素が詰め込まれた、素敵な作品でした。
これは、妖怪の見えるお医者様、山吹先生が、不思議少女クロコちゃんと、人間も妖怪も訪れる『七ツ闇クリニック』で過ごす日常を描いた物語です。
やっぱり世の中お金が無いと医者もやっていけないのですが、山吹先生は人が良いので、それがわかっていても自分の損を顧みず、人間も妖怪も診てしまいます。
クロコちゃんはそんな先生が大好きで、だからついついお金に厳しくなってしまう。でも、やっぱり彼女の心には先生がいるから最終的には先生の善行につきあっちゃう。
おっとりした先生としっかりものな彼女の二人が妖怪達と織りなすハートフルな物語。
もちろん妖怪たちもとても人間ぽいのばかりで、良いキャラクターしてます。
クリニックに遊びに来る子供たちとか周囲の人間とのやりとりもほのぼのできます。
2、3話で1つのお話になっていますが、あるお話で得たものが次のお話で役立つ等、話の構成も楽しめる良作です。
七ツ闇という町にある診療所「七ツ闇クリニック」。そこでは昔から物の怪が出るという……。
本作は町唯一の医師である山吹先生と、相棒(?)の着物姿の少女クロコが織り成す短編連作です。
山吹先生の医師の腕は確かなものの、クリニックは赤字経営。
あの手この手でやりくりしているのですが、そこで現れるのが物の怪たち。
各話には毎回個性豊かな物の怪が現れ、交流が奇妙でおかしく、そして楽しく描かれています。
全十話+αの構成はドラマを見ているようで、最終夜は終わってしまうのが惜しくなるのでちょっと読むのを躊躇ってしまいましたが、
しっかり素晴らしい展開になっていました。
物の怪はもちろん、独特なネーミングのおかしやことわざなど小ネタも利いている名作です。
ぜひこのクリニックの患者さんになってみてください。