誰の内にも潜むもの

先生と出会うに至った経緯は実にセンセーショナル。ただ、その衝撃的な出会いが、彼を先生の元に居させたというわけでもないのだろうと感じました。

「怪物を探す」とは一体どういう意味なのか。
彼自身もそれを探求していたのでしょう。しっとりとしたトーンで展開する話はどれもダークサイドの話。でも、ヒヤリとしつつ、どこか温かみを感じる不思議な読後感を味わいました。

「怪物」はきっと何処にでもいる。目には見えなくとも。恐らく、それを認識しないよう、表出させないよう、生きているのが人間。確かめようのないことだからこそ恐ろしい。外界や他者ではなく、内的に存在する畏怖の対象を表現した作品とも言えるかもしれません。