ラブコメジャンルですが、コメディ要素よりも、恋愛模様がしっかりと描かれている作品だと感じました。恋愛初期の高揚や昂り、不安や落胆、焦りなどがバランスよく展開します。
主人公の雷五郎は体格がよく、運動神経も抜群。そしてよく食べる。
ストーリーの中で次々と美味しそうなものを平らげる彼の満足げな顔を想像しながら読むと、こちらも幸せになれるに違いありません。
また料理が登場するシーンも様々で飽きません。
ただ、彼はどうにも輪郭の濃いコンプレックスを抱えたまま、初めて出来た彼女・文奈との時間を過ごします。
考古学趣味の文奈が好きなものを理解したいと思いつつ、やはり彼女が自分のことをどう思っているのかが気になってしまう。
そのコンプレックスが取り払われる結末を見てしまうと、勾玉の艶を触って確かめたくなります。
この二人の縁を是非見守ってあげて欲しいです。