こちらの童話は美しい娘とオタリアの青年の一途な恋物語。誰にも邪魔されずに幸せに、などということはなく、特に娘に悲劇が降り注ぐ。愛情深い両親、意地悪な人、好奇の目で見る人、悪辣な人、親切な人、勇敢な人、助けてくれる人、普通の人……色んな人が居る社会の縮図がわかりやすく描かれている。特筆すべきは、とにかく描写が美しいこと。美しい筆致で描かれ、後に『神話』に昇華されるであろう物語。