剣士と赤竜

作者 泡野瑤子

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★★★ Excellent!!!

竜殺しの英雄が、引退を機に人生をふり返る。
戦いの日々に置きざりにされていた娘や相棒との関係。亡き妻や友人たちとの過去。
それらに相対するなかで、家族とはなにかを見いだし、やがて止まっていた時間も動きだす。
物語の構成もみごとで、読み終わりには静かな感動につつまれる。おすすめです。

★★★ Excellent!!!

赤竜討伐団の副団長、ジェラベルド。竜との闘いにて手傷を負い、
彼は団を退くが…主人公の過去と現在を織り交ぜながら、彼がその人生で
不器用ながらも愛したもの、愛したそうとしたものが、落ち着いた筆致で
綴られていきます。男女の愛・友情・親子愛・師弟愛…
そのほか、数多の名前の付けられない「愛」が
ストーリーの随所に散りばめられた作品です。息が詰まるほどに。

★★★ Excellent!!!

 赤竜に襲われる都で、その討伐団の主力として団長と共に皆を率いていたジェラベルド。
 その竜との戦いで深傷を負ったことで引退を決意し、別の道を歩もうと考え始めたところから物語は始まります。

 美しく鮮やかな世界の描写と、登場する人々の心の動きが本当に細やかに描かれていて、どちらかといえば剣と魔法の冒険ファンタジーかな、と思って読み始めたのですが、あまりに心揺さぶられる人間ドラマの物語でした。

 ジェラベルドが相手を想うあまりに自分の想いを封じ込め、さらには初めは自分を蔑んでいた別の相手とやがて心を交わすようになるその過程が丁寧に丁寧に語られます。
 亡き妻の最後の告白の本当の意味を知った時、久しぶりに物語を読んでいて不覚にも泣いてしまいました。最後は爽やかに、それでもやっぱり少し私には切なく思えました。

 あまりにも優しすぎる元剣士と彼が大切にする人たちとの物語。
 おすすめです!