第69話
・Side 青羽美玲
私は会社のオフィスで最後の報告書をまとめ終わった。
鈴木さんが、会社を辞めて自分でNew tubeを始めたことで会社から出されていた在宅ワークを辞めることを決めた。
それに伴って私の職務も終わろうとしていた。
深いため息が出てしまう。
鈴木一さんの保護官としての任務は日々の仕事の中でも特に大切なものであり、彼の安全を守るために全力を尽くしてきた。
しかし、最近は悩みがあった。
鈴木さんが白鳥結奈さんや花井杏樹さんに対して特別な感情を抱いていることを知り、彼女たちがいれば鈴木さんが幸せでいられると言うことだ。
もう自分が鈴木さんの保護官をしている意味はないかもしれない。
このまま会社を辞めるのに合わせて、保護官も外される可能性がある。
最後の仕事を終えて、会社を出ると結奈さんが立っていた。
彼女はいつものように輝かしい笑顔で、私に向かって話しかけてきた。
「お疲れ様です、青羽さん」
「何か御用ですか?」
「ふふ、最近オジ様とあっていないようですね」
「もう、練習は必要ありませんから。それに鈴木さんは会社を辞める決心をされました。私の役目は終わったのです」
自分で言っていて、胸が締め付けられるような思いがした。
結奈さんの言葉には悪意はないのだろうが、その威圧的な発言が私を苦しめる。
私はこの後、鈴木さんの家に行って別れを告げる。
「そうですか、あなたはそれでいいのかしら?」
「どういう意味です?」
「あなたの気持ちはその程度なのか聞いているの」
「私の気持ち?」
「ええ、オジ様を好きではないの?」
「うっ! わっ、私は職務で」
「本当に? それなら私から言うことはないわ」
そう言ってユナさんは立ち去っていきました。
なんなのだろう? 私の気持ちなど……。
私は鈴木さんの家に向かいました。
家に招き入れてもらうと、鈴木さんは何かを察したようでした。
「どうしたんですか、美玲さん?」
「私、もうすぐあなたの保護官から外されると思います。
「私が会社を辞めたからですか?」
「はい! 外部との接触の保護は結奈さんが、ボディーガードをつけるでしょう。国が保護する必要がありませんので、我々保護官は外れることになります」
鈴木さんは驚いた表情を見せた。
「そんな…美玲さんがいなくなるなんて、考えていませんでした!」
鈴木さんの言葉で嬉しいと感じてしまう。
私は自分でも頬が緩むのを感じた。
だけど、それと同時に鈴木さんと離れなければならないと言う悲しさが込み上げてくる。
「鈴木さん、結奈さんならば、あなたを安全を守ることができるでしょう。今後の鈴木さんの幸福を祈っています」
あっ、ダメだ。
私は最後までクールに無表情でいようと思ったのに、涙が流れ落ちてしまった。
「青羽さん、あの!」
「はい?」
「お嫌でなければ、今後も私の側にいてくれませんか?」
「えっ?」
「結奈さんに出会う前から、私を守り、ずっと側にいてくれたのはあなたです。そして、結奈さんや、杏樹さん、詩織さんと付き合うようになってわかったことがあります」
「なんでしょうか?」
「私を一番、最初から支えてくれたのはあなたです」
「うっ!」
私の胸は鈴木さんの言葉でいっぱいになって、我慢していた涙が溢れ出してしまいました。
「ウウウウウ」
「私が嫌いでしょうか? もちろん、面倒な相手で青羽さんがお嫌だと言うなら「大好きです!」」
「えっ?」
「大好きなんです! あなたをずっと見ていて大好きになりました!」
そう言って、鈴木さんの胸に飛び込んでしまいました。
泣いてしまった私を鈴木さんは優しく抱きしめて頭を撫でてくれました。
「仕事ができるクールな女性だと思っていましたが、美玲さんは可愛い人ですね」
名前を呼ばれて、私もハジメさんと呼ぶことができた。
♢
結奈さんに別の日に呼びされた。
「美玲さん、まずはおめでとうございます」
「えっ?」
私は前に威圧的な態度を取られたこともあって警戒していたのが嘘のように、祝福を受けました。
「本当は私が動いて、あなたと鈴木さんを恋人にしようと思っていたのに、自分で告白をするなんてやるじゃないですか」
私は驚き、気恥ずかしさと感謝の気持ちでいっぱいになった。
「結奈さん、本当にありがとうございます。これから色々と教えてください!」
「いいですよ。でも、正妻は私ですからね!」
「それはもちろんです。私は愛されるだけで幸せなので」
「言うようになりましたね」
私たちは昔のしこりを取り除くように、笑い合った。
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あとがき
どうも作者のイコです。
少し空いてしまって申し訳ありません。
なかなか忙しくて、手をつけられませんでした。
熱中症にも二回なって高熱を出しております。
皆さんも暑い日が続いているので、どうぞお身体にご自愛ください。
いつも応援ありがとうございます!
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