第56話

 ライブ配信を終えて、緊張が解けるとともに、心地よい達成感が広がります。

 

 ただ、達成感と同時に、独りよがりのライブ配信で、大丈夫だっただろうかと不安もよぎりました。


「…やっと言えた」


 自分の中でずっと抱えていた思いを伝えることができた。

 ただ誰かに聞いて欲しい。


 それを口にすることができたのは、少しだけ誇りを感じます。


 さて、これからどんな反響があるのだろう。


 パソコンの画面に目をやると、すでにコメントが続々と寄せられていた。

 コメント欄には、視聴者の感想や応援のメッセージが次々と表示される。



「すごく感動しました!泣けました」


「ハジメさん、素敵な話をありがとう。これからも応援してます!」


「ハジメさん、もう一度お話を聞かせてください!」


「あなたの話に心打たれました。私も前向きに生きようと思います」


「なんて素晴らしい話なんだろう。ハジメさんの勇気に感謝します」


「ハジメさん、今日の服装も素敵でしたね」


「親友の分まで幸せになってください!応援してます」


「ハジメさん、いつも動画楽しみにしてます。次も期待してます!」


「泣いちゃった…ハジメさんの話に心が洗われた気がする」


「私も辛いことがあったけど、ハジメさんの話を聞いて元気が出ました」


「ハジメさんみたいな素敵な男性に出会いたい」


「私もあなたの近くにいたいです…」


「これからもハジメさんを応援します! 大好きです!」


「本当に感動しました。ハジメさん、ありがとう」


「ハジメさん、もっと詳しく話して!」


「あなたの全てを知りたいです…」


「ハジメさんの動画を見ていると、心が落ち着きます」


「どこに住んでいるの? 一度会ってみたい!」


「ハジメさん、次の動画はいつですか?待ちきれません!」


「ずっと応援してます!どこに行っても追いかけます!」



 そのコメントの一つ一つが、心に温かく響くものもあれば、少しだけ恐怖を感じるものも混じっている気がします。


 こんなに多くの人に自分の思いが伝わったことに感謝の気持ちでいっぱいになると同時に、有名になると言うことは、警戒も必要だと感じました。


「概ね、やってよかったですね」


 その時、スマホが振動し、メッセージが届きました。


 見ると、花井さんからのメッセージです。


「ハジメさん、ライブ配信見ましたよ! 親友の方が亡くなられてしまったのですね! 凄く悲しくはありますが、ハジメさんの言葉に感動しました。これからは私がしっかりサポートします! 一緒に頑張りましょうね」


 彼女の言葉に胸が熱くなる。

 彼女も見てくれていたんだ。

 心から感謝の気持ちが溢れる。


「ありがとう、アンジュさん。これからもよろしくお願いします」


 次に、スマホの画面が再び光る。今度はユナさんからだ。


「ライブ配信を見ました。私もオジ様を支えます!」


 ユナさんのメッセージは簡潔なものだったが、心が温かくなる気がした。

 二人の女性に支えられて、今の自分があるのだと改めて実感する。


 これからも、彼女たちや視聴者の皆さんのために、もっと素敵な動画を作り続けて行きたいと思った。


 最終的に、視聴者は10万人を超えていて、ネットニュースにも取り上げられていた。


 こんな新人動画配信者のライブにニュースが取り上げられて、気恥ずかしさを感じてしまう。


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