おまけ
第67話
・side花井杏樹
ハジメさんの動画編集を手伝うことで、かなりの対価をもらえるようになって、スーパーのバイトを辞めて、大学にキチンと通えるようになりました。
今後もハジメさんのお手伝いをしたいので、動画編集、プロデュース、デザインなど、今後の活動に役に立つことを勉強するようになった。
そんなある日、大学のキャンパスでユナさんが私を待っていた。
一緒にお茶をしたいというので、テーブルを共にする。
彼女はいつも以上に幸せそうな笑顔を浮かべていた。
「杏樹さん、実はオジ様と…結ばれました」
その言葉に、私は驚きと共に胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
ユナさんの幸せそうな顔を見て、祝福しなければならないと頭ではわかっていても、心の中には複雑な感情が渦巻いていた。
「そうなんだ…良かったね、ユナさん」
なんとか笑顔を作り、彼女の幸せを祝福する。
「ですから、次はあなたの番です」
「えっ?」
「前に言ったではないですか、オジ様を一緒に支えて欲しいです。私はオジ様とお互いに初めてでした。それで十分に満足です」
「いいのですか?」
「もちろんです」
ユナさんから伝えられた言葉に、自分の心がざわついているのを感じた。
ハジメさんとユナさんが結ばれたという事実が、私の中で大きな存在感を持っている。
私は自分の気持ちを整理するために、彼との思い出を振り返る。
ハジメさんは私がバイトしていたスーパーに会いにきてくれて、猫ちゃんを拾って、いつも優しくて、真剣に私の意見を聞いてくれる人だった。
彼と一緒に過ごす時間は、私にとってとても特別なものになって、初恋を自覚した。
だから、決心ができた。
♢
翌日、次の動画の打ち合わせのためにハジメさんの家を訪れることにした。
彼に会う前に、気持ちを落ち着かせるために深呼吸をする。
「アンジュさん、いらっしゃい」
鈴木さんはいつも通りの笑顔で迎えてくれた。
その笑顔を見た瞬間、私の心が少し軽くなる。
「こんにちは、ハジメさん。次の動画の打ち合わせをしに来ました」
私は努めて明るく振る舞い、彼の家に入る。
リビングで座りながら、彼と次の動画の内容について話し合う。
しかし、心の奥底では、彼とユナさんの関係を意識してしまう自分がいる。
「アンジュさん、今日はどうしたんですか? 何か悩んでいるように見えますが」
ハジメさんは私の様子に気づき、心配そうに尋ねてくれた。
やっぱり優しい。私は一瞬戸惑ったが、正直に答えることにした。
「実は…ユナさんから、ハジメさんと結ばれたと聞きました。それが私にとって凄くショックで…」
ハジメさんは驚いた表情を見せ、少しの間、沈黙が続いた。
その後、優しい声で答えてくれた。
「えっと、どう答えればいいのか」
「ハジメさん、私はハジメさんから見れば魅力的ではないと思います。モテる女性みたいに胸は小さくないし、テキパキとなんでもできません。ノロマでデブです」
「そんなことはありません!」
「えっ?」
ハジメさんが大きな声で私が言った言葉を否定する。
「ごめんなさい。えっと、アンジュさんはとても魅力的な女性です。そんな風に自分を貶めるようなことを言わないでください。アンジュさんは私にとって大切な存在です。私は、あなたとの時間も大切にしたいと思っています」
その言葉に、私は心が自分が告白してしまったことに気づいた。
好きだと言ったわけじゃない。
だけど、これではハジメさんを求めていると言っているようなものだ。
「わっ、私はハジメさんが大好きです! お力になりたいです。そして、あなたを支えたいです!」
「えっと、こんなおじさんですよ?」
「私、ハジメさん以外の男性は興味ありません」
「ユナさんとお付き合いしていますよ」
「彼女から、一緒にハジメさんを支えようと言われました」
「もう、後戻りはできませんよ」
「喜んで」
私たちは新たな一歩を踏み出しました。
それはとても嬉しくて幸せな時間を……。
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あとがき
どうも作者のイコです。
完結した後も、たくさんの方からアクセスと、コメント、レビューいただきありがとうございます。
少しだけですが、思いついたエピソードを一つ。追加してみました。
楽しんでもらえると嬉しいです。
いつも応援ありがとうございます(๑>◡<๑)
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