第26話

 side佐藤大輝


 自信満々でライブ配信を終えた僕は、いつも通りの自分の生活に戻ったつもりだった。しかし、数日後、日常が少しずつ変わり始めた。


 まず最初に感じた違和感は、SNSのコメント欄だ。


 普段は僕を称賛するコメントばかりのバカな女たちだったのに、少しずつ批判的なコメントが増え始めたのだ。


「大輝くん、あの発言はちょっと…」

「本当に鈴木さんのこと調べたの?」

「彼のプライベートを暴露するのは良くないんじゃない?」


 最初は無視していたけれど、日に日にその数が増えていく。


 何が起きているのかと、疑問に思っていた矢先、フォロワー数が徐々に減っていることに気付いた。


「おいおい、何が起こってるんだ?」


 次に来たのは、学校での変化だった。


 いつも僕を取り巻く女性たちの態度が、少しずつ冷たくなっていくのを感じた。


 特に、結奈との距離が大きく開いて、会うこともできていない。

 完全に僕のことを避けている。


「大輝くん、最近どうしたの? なんか変だよ」


 俺の取り巻きである嫁の一人がそう言ってきた。

 僕は内心で焦りながらも、外面は平静を装っている。


「なんでもないさ、ちょっと疲れてるだけだよ」


 しかし、その言葉とは裏腹に、心の中では焦りを感じていた。

 今までこんなことはなかった。


 僕は人生の勝ち組だ。


 顔も良ければ、女たちからも、モテるのが当たり前。

 それなのに今回は明らかに手応えが違う。



 さらに数日後、学校にいると、突然教師に呼び出された。


「佐藤くん、ちょっと話があるんだけど」


 教師に連れられて校長室に行くと、そこには見知らぬ大人たちが数人待っていた。


 MGIのバッジを付けた女たちが、僕に厳しい視線を向けている。


「佐藤大輝くん、君がNewTubeで発言した内容について、いくつか質問があります」

「ハァッ! 俺が何をしたっていうんだよ。よくある暴露動画だろ?!」


 僕は自分が悪くないことを伝えるために大きな声で叫ぶ。


「問題ないのであれば、素直に答えてください」

「うっ、あの、それは…」


 どんなに言い訳をしようとしても、冷たく突き放した物言いをされる。

 俺にこんな物言いをするような女はいなかったから、戸惑ってしまう。


「君の発言は、男性保護法に違反している可能性があります。我々はその証拠を集めているところです。正直に答えていただけますね?」

「おっ、俺は悪くない!」

「そうですか、では事情聴取を行なっていきます」


 なんだよこれ! 俺はまるで犯罪者のように一時間ほど質問ばかりを受けた。


 さらに学校を出ると、記者たちが待ち構えていた。

 カメラを向けられ、フラッシュがたかれる中、僕は抵抗する。


「なんだよこれ! やめろ! 俺は悪くない!」

「佐藤大輝くん、今回の騒動について一言お願いします!」

「鈴木一さんへの発言について、どう考えていますか?」


 質問の嵐に僕は混乱する。


 オッサンに対して、俺は批判はしていない。

 むしろ、男として価値があると予想を言っただけだ。


 それなのにどうしてこんなことになるんだ? その場から逃げ出すように走った。


 自宅に帰っても、SNSには非難のコメントが溢れていた。

 これまでの非ではないくらいに、誹謗中傷ばかりがコメントされている。


 new tubeのフォロワー数が100万人を超えていたはずなのに、10万を切るぐらいに急激に減少していた。


「こんなはずじゃなかった…」


 テレビを付けるのも辛くはあったが、テレビをつけてニュースを見た。

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