第26話
side佐藤大輝
自信満々でライブ配信を終えた僕は、いつも通りの自分の生活に戻ったつもりだった。しかし、数日後、日常が少しずつ変わり始めた。
まず最初に感じた違和感は、SNSのコメント欄だ。
普段は僕を称賛するコメントばかりのバカな女たちだったのに、少しずつ批判的なコメントが増え始めたのだ。
「大輝くん、あの発言はちょっと…」
「本当に鈴木さんのこと調べたの?」
「彼のプライベートを暴露するのは良くないんじゃない?」
最初は無視していたけれど、日に日にその数が増えていく。
何が起きているのかと、疑問に思っていた矢先、フォロワー数が徐々に減っていることに気付いた。
「おいおい、何が起こってるんだ?」
次に来たのは、学校での変化だった。
いつも僕を取り巻く女性たちの態度が、少しずつ冷たくなっていくのを感じた。
特に、結奈との距離が大きく開いて、会うこともできていない。
完全に僕のことを避けている。
「大輝くん、最近どうしたの? なんか変だよ」
俺の取り巻きである嫁の一人がそう言ってきた。
僕は内心で焦りながらも、外面は平静を装っている。
「なんでもないさ、ちょっと疲れてるだけだよ」
しかし、その言葉とは裏腹に、心の中では焦りを感じていた。
今までこんなことはなかった。
僕は人生の勝ち組だ。
顔も良ければ、女たちからも、モテるのが当たり前。
それなのに今回は明らかに手応えが違う。
♢
さらに数日後、学校にいると、突然教師に呼び出された。
「佐藤くん、ちょっと話があるんだけど」
教師に連れられて校長室に行くと、そこには見知らぬ大人たちが数人待っていた。
MGIのバッジを付けた女たちが、僕に厳しい視線を向けている。
「佐藤大輝くん、君がNewTubeで発言した内容について、いくつか質問があります」
「ハァッ! 俺が何をしたっていうんだよ。よくある暴露動画だろ?!」
僕は自分が悪くないことを伝えるために大きな声で叫ぶ。
「問題ないのであれば、素直に答えてください」
「うっ、あの、それは…」
どんなに言い訳をしようとしても、冷たく突き放した物言いをされる。
俺にこんな物言いをするような女はいなかったから、戸惑ってしまう。
「君の発言は、男性保護法に違反している可能性があります。我々はその証拠を集めているところです。正直に答えていただけますね?」
「おっ、俺は悪くない!」
「そうですか、では事情聴取を行なっていきます」
なんだよこれ! 俺はまるで犯罪者のように一時間ほど質問ばかりを受けた。
さらに学校を出ると、記者たちが待ち構えていた。
カメラを向けられ、フラッシュがたかれる中、僕は抵抗する。
「なんだよこれ! やめろ! 俺は悪くない!」
「佐藤大輝くん、今回の騒動について一言お願いします!」
「鈴木一さんへの発言について、どう考えていますか?」
質問の嵐に僕は混乱する。
オッサンに対して、俺は批判はしていない。
むしろ、男として価値があると予想を言っただけだ。
それなのにどうしてこんなことになるんだ? その場から逃げ出すように走った。
自宅に帰っても、SNSには非難のコメントが溢れていた。
これまでの非ではないくらいに、誹謗中傷ばかりがコメントされている。
new tubeのフォロワー数が100万人を超えていたはずなのに、10万を切るぐらいに急激に減少していた。
「こんなはずじゃなかった…」
テレビを付けるのも辛くはあったが、テレビをつけてニュースを見た。
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