第25話

 病院から帰ってきて、豪華なマンションの広いリビングのソファーに腰を下ろすと、恐る恐るクゥが私に近づいて膝の上に乗りました。


「ミャー」

「広い部屋になって戸惑っていませんか?」


 クゥを抱き上げて問いかける。

 

 今までは1Kだった家が、いきなり3LDKに変わって、その一室は前の部屋をそのまま再現したような作りになっています。


 これをたった1日で再現してしまわれたのですから、スワングループの凄さがわかりましすね。


 病院で、少し三人とお話をしました。


「鈴木さん、これであなたの状態は確認されました」


 青羽さんが、冷静に結果を見て告げてくれます。


「はい。ただ、どうやってこの証明書を活かして佐藤君を懲らしめるんですか?」


 そんな私の疑問にユナさんは微笑みながら言った。


「オジ様、何も心配しなくて大丈夫ですよ。これからが本番です。私たちは彼を法的に追い詰めるだけでなく、彼が犯した罪を広く知らしめるつもりです」


 具体的に聞くのが怖くなるような言い方ですね。


「まず、MGIを通してメディアに偽造の証明書を公開します。その次に、佐藤大輝の虚偽発言を公にするための証拠を揃えます。彼がNewTubeで発言した動画やSNSの投稿を収集し、法的な手続きを進めます」

「それだけで彼が罪を感じるとは思えませんが…」


 佐藤大輝君はこれまで自分が世界の中心のように思う生活をしてきたでしょう。


 実際に、私の事件があっても彼の人生が全て終わるわけではありません。


 貴重な男性を、このまま放置するのは勿体無いでしょうからね。


 多くのフォロワーを持つ影響力のある彼はこんな事件で終わってしまうのでしょうか?


「オジ様、ご安心ください。私たちにはもう一つ計画があります」


 ユナさんが少し悪戯っぽく微笑んだ。


 その表情に、私は少しの不安を抱いてしまう。


「どんな計画ですか?」

「彼が行った行為は、『男性保護法』に違反しています。この法律は少数派である男性の尊厳と権利を保護するために制定されたもので、彼の行為は明らかにその法律に違反しています。これを使って、彼を法的に追い詰めることができます」


 それは彼にも適応されるのではないでしょうか? こんな見た目が普通のおじさんよりも、彼のような若いイケメンの方が大切に思いますね。


「私たちは彼の影響力を逆手に取るつもりです」

「彼が持つフォロワーの中には、彼の行動に失望し、彼を見限る人々も多いはずです。私たちはその人々を味方にするつもりです」


 あまりSNSは得意ではないですが、そんなことができるのでしょうか?


「その際にはオジ様にもお手伝いをお願いすることがあるかもしれません」

「わかりました。私にできることがあれば手伝います」


 自分のことですが、他人事のように思ってしまいますね。


「でも、私がそんなことをしても、彼のフォロワーたちは信じてくれるでしょうか?」

「大丈夫です。私たちがバックアップします。白鳥家の影響力とMGIの信頼性があれば、多くの人々が真実を知るでしょう」

「そして、オジ様の声は真実です。人々は真実を求めています。私たちはそれを届ける手助けをするだけです」


 青羽さんとユナさんの言葉に、私はこれ以上、何かをいうことはありません。


 彼女たちの計画に身を委ねるだけです。


「分かりました。皆さんの計画に従います。佐藤大輝君には自分の行為の責任を取ってもらいましょう」


 こうして、私たちは佐藤大輝を追い詰めるための具体的な行動に移ることになりました。

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