第24話

 今回の一件は騒動として、かなり規模が大きく、私は自宅から離れることになりました。


 三人が帰った後に、クゥと共にしばらくホテルに移動しました。

 集まっていた人たちは警察が来て、集まらないように言ってくれたようです。


 しばらくホテルで時間を過ごしていると、安西さんが迎えにきてくれて、ユナさんが用意してくれたマンションに移動しました。


 セキュリティーがしっかりとしているオートロック付きの顔認証タイプのマンションで、登録している者しか入れないそうです。


 しかも私の家に置いていた荷物が数時間で、全てマンションに移動にされていました。


 家が変わると落ち着かないという猫のクゥも、家と全く同じ部屋の空間に、最初は匂いを嗅いで戸惑っていましたが、すぐに寛ぎ始めました。


「えっと、どうして家具やタオルとかまで?」

「それは、今日からここがオジ様の家だからです」

「えっ! 私、引っ越ししたんですか?!」

「勝手ながらで申し訳ありませんが、顔や住所など身バレされてしまったので、こちらのセキュリティーが保証されたお部屋に移動していただきました。これはMGIにも了承してもらっています」

「そうですか」


 ですが、このような高いマンションに住めるだけの給与を私はもらっていないのですが! しかも、いつも行っているスーパーからかなり遠いので、花井さんには会えなくなりますね。


 なんだか、いきなり自分の生活が変わりすぎて戸惑うばかりです。


「佐藤大輝君が発した言葉は、憶測だったのかもしれません。ですが、オジ様は現在、彼が発した言葉を正しいと証明してしまいます。拉致されたり、誘拐される危険もあるので、戸惑いはあると思いますが、こちらに引っ越しをお願いします」

「わかりました。私のことを考えてくれているのはわかっているので……」


(これでオジ様は私の監視下です)


「うん? 何か言われましたか?」

「いえ、何も言ってませんよ。それよりも会社や病院、必要なことがあれば、私にメッセージを送るか、青羽さん、詩織さんのいずれかに一言声をかけてください」

「えっ? そうなんですか?」

「突然、オジ様がいなくなったりすれば、捜索隊を出さなくてはいけないので!」


 あ〜そこまで大変な状況なんですね。

 仕方ありませんが、少し窮屈に感じてはしまいますね。


「会社の方からは、無期限でお休みして構わないと了承を得ております。退職されるまでの給与も支払うということです」


 それは……なんだか切ないですね。


 居ても居なくてもどっちでも良いと言われているような気がします。


 会社的には、私が精神的に傷を負っているための配慮なのでしょうが、とても悲しくはありますね。


「そうですか、色々と配慮ありがとうございます」

「はい! 最後に、病院は完全個室で、医師、私、詩織さん、青羽さん以外はオジ様の事実を知らないようにさせていただきます」


 様々な手配をユナさんはしてくれているのだろう。

 どうしてここまでと思うが、彼女なりに命を助けた恩返しをしてくれているんだろう。


 それ以上の恩を感じてしまって気後れするばかりだが、彼女の行為に甘えるしかない。


 次の病院に移動して、検査を受ければ私は正常値を記録して、ユナさんが用意してくれたお医者様はかなり驚いておられました。


 どうやら半信半疑だったようですね。


 これにより、佐藤大輝君が流布した情報が、真実だったことが証明されました。


 検査結果はその場にいた者たちだけで、完全な極秘案件として扱われるそうです。


「皆さん、口外すれば命の保証はしかねます」


 ユナさんの言葉に三人は頷いておられます。

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