エピソード3 青羽美玲

第41話

 Side 青羽美玲 - 過去回想


 学生時代、私は周囲から「秀才」と称されていた。

 勉学に励み、成績は常にトップクラス。

 自分でも真面目な生徒で、高校までは名前よりも、委員長と呼ばれることが多かった。

 

 大学では教授たちからの信頼も厚く、将来を期待される存在だったと自負している。


 実際、私は主席で日本一の大学を卒業し、その努力が報われたと感じていた。


 だが、そんな私にも秘密があった。


「美玲、また成績トップだってね。さすが!」

「ありがとう。でも、ただ頑張っているだけよ」


 友人たちにはそう答えていたが、実は心の中では別のことに関心があった。


 それは、男性のことだ。


 そう、私はムッツリスケベなのだ。


「美玲、今日はパーティーがあるんだけど、来ない?」

「ごめん、ちょっと用事があって」


 友人たちの誘いを断るたびに、私は自分が奥手であることを痛感していた。


 本当は男性とお近づきなりたい。

 興味は誰よりも強くありながらも、どう接していいのか分からなかったのだ。


 男性が少ない世界では、女性が積極的にアプローチするのが普通だった。

 しかし、私はその文化にうまく馴染めず、ただ遠くから見つめるだけの日々が続いた。


 大学の図書館で勉強しているときも、つい他の女性たちの話題に耳を傾けてしまう。


「ねえ、聞いてよ。昨日、男の子と偶然ぶつかっちゃって、もう最高なんだけど」

「いいなぁ〜、私もそんな経験してみたい!」


 そんな話を聞くたびに、私は胸が締め付けられる思いだった。

 自分もそんな体験をしてみたい。

 でも、自分からアプローチする勇気など持てるはずがない。


 勉強に集中しようとすればするほど、心の中で芽生える興味が邪魔をしてくる。

 男性と親しくなりたいと思いながらも、どう接するべきかが分からず、ただ時間が過ぎていった。


 ある日、教授の紹介で私は特別講義に参加する機会を得た。

 そこで、初めて近くで男性を見ることができた。


「本日は特別講義をさせていただきます。講師の田中と申します」


 すでに五十歳を超えられているオジ様でしたが、私にとって初めて近くで見る男性に心がときめいてしまいます。


 その時、私は顔が赤くなるのを感じました。

 優しくて穏やかな雰囲気を持つオジ様に、一瞬で心を奪われました。


 男性は三十歳を超えると子供を作れないと言いますが、そんなこと私には関係ありません。


 むしろ、年の近い男性は緊張してしまうので、年の離れた落ち着いた雰囲気が、私には心地よかったなのです。


 落ち着いた話し方の講義は、興味深く聞くことができました。

 豊富な知識と、その内容に引き込まれていきます。


「そちらのお嬢さん、質問があればどうぞ」

「えっ、あ、はい…」


 一番先頭に座る私が呼ばれて、頭が真っ白になってしまう。


「どうかしましたか?」


 優しく笑顔で問いかけてくれることに、私はますます胸が高鳴った。


 田中先生との出会いが、私を男性保護官へ導くきっかけになったことは間違いない。


 それ以来、私は男性に対する興味をさらに強め、大学を主席で卒業した。


 優秀な成績を持つ私は、数々の企業からオファーを受けたが、その中でも特に魅力を感じたのが、男性保護局への就職でした。


「ここなら、自分の能力を最大限に発揮できる」


 そう思い、現在の職場に就職した。


 だが、社会に出てからも、私は奥手なままだった。

 男性と接する機会が増えても、自分から積極的にアプローチすることはできず、ただ心の中で興味を抱き続けるだけだった。


 そして、鈴木一さんの担当になり、私は二度目の恋をした。


 彼は優しくて、誠実で、私が求めていた理想の男性像そのものだった。


 ♢


 だが、再び同じ過ちを繰り返さないためにも、私は彼に対して一歩踏み出す勇気を持つことを決意した。


「それでしたら、私で慣れませんか?」

「えっ?」

「私が鈴木さんが女性に慣れる練習相手になります」


 彼の悩みに漬け込むようではあるが、私は鈴木さんともっと親しい関係になりたい。


 田中先生よりも歳が近くはあるが、子供を作れる鈴木さんに、私は気持ちも心も捧げたい。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 突然ですが、エピソード3です。


 そして、今日のお昼頃に近況ノートでお知らせをします!

 もしよかったら、近況ノートを見てくれると嬉しいです(๑>◡<๑)


 いつも読んでいただきありがとうございます!

 今後も応援よろしくお願いします!(๑>◡<๑)

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