貞操逆転世界では、三十五歳を超えると出来なくなるらしい。
イコ
第1話
会社員、独身。
それが今の自分であり、それ以上に語ることのない存在。
スマホの目覚まし機能が鳴って目を覚ます。
朝からテントを張っている下半身を、どうしたものかと悩みながらも、どうしようもないと頭を冷やすためにシャワーを浴びる。
鏡に映るのは平凡な三十五歳男性が無精髭を生やしている顔だ。
朝から髭を剃り、身なりを整えて朝食の用意をする。
パンが焼けるまでの間にスーツを着て、パンとインスタントのコーヒーを飲んだら会社に出社する。
「仕事か…」
軽くため息をつきながら、通勤ラッシュ時間の電車に乗り込む。
車両案内に男性専用車両という項目に目を止めて乗り込めば男性しかいない。
そのため朝の通勤時は、ガランとして座ることもできる。
会社に着くと、いつもと変わらないオフィスの光景が広がっていた。
これは転生前も、転生後も変わらない風景であり……。
ただ、少しだけ違和感がある。
会社のオフィスの九割の社員が女性であることだ。
別に女性推奨の会社ではない。
世間一般的に女性の方が数が多いために、どこに行っても女性ばかりなだけだ。
メガネを上げて窓際にある自分の席を目指す。
特に何の変哲もない一日が始まった光景だろう
「おはようございます、鈴木さん」
唯一話しかけてくれるのは若い女性社員の
挨拶をして、彼女に軽く微笑み返すが、挨拶をすればすぐに視線を逸らして立ち去っていく。
青羽さんは、自分のデスクに書類を置きにきただけなのだ。
「ふぅ」
ため息を吐いて、気持ちと状況の整理を行なっていく。
ここは……男女の比率が1/30の世界で、ほとんど男性がいない。
そのため貞操概念が逆転しており、女性が社会を構築しており、男性は特殊な立場にある。
若い男性は国から保護される立場であり、三十歳を超えた男性は著しく性的機能が低下して、子作りをすることができなくなってしまう。
それが世間一般的な常識であり、そのために三十歳までに養ってくれるお金持ちの女性を見つけなければならない。
何故、三十歳までなのかと言えば、この世界の男性は元々女性に興味がなかったらり、生殖機能が著しく低下して、一週間に一度しかできないほど肉体的に弱いと言われている。
そして、三十歳までに子供を作れなくて、養ってくれる女性を見つけられなかった男は、国からの支援を打ち切られて、細々と社会の歯車として生きていくために会社勤めを始める。
これまで保護されて、教育を頑張らなかった男性が突然放り出されたらどうなるのか? ……社会にとって、余計なお荷物として扱われるわけだ。
男としての役目を果たせず、価値のない存在。
そんな風な目で見られることになる。
これを酷いと思うかもしれないが、逆に三十歳までは、国からは大量の支援と、女性の斡旋があり。
女性を選べる特権階級のような存在なのだ。
大量の税金をかけたにも関わらず、それを無碍にしてしまったような状態であれば、見捨てられても仕方はないかもしれない。
つまりは、それすら出来ない役立たず。
それが今の鈴木一という存在の立場なわけだ。
だが、一つだけ訂正をさせて欲しい。
私は三十五歳の現在も愛棒が元気であり、朝からテントを張る毎日だ。
この世界では三十歳で八割の人間が生殖機能を失うそうだが、私の子種は今でも元気にしている。
そして、ここが貞操が逆転しているという認識があることでもわかると思うが、私は転生者であり、美しい女性を見れば興奮も覚える。
だが、そんなことがバレてしまえば、珍獣扱いされて、怖い研究機関に捕まって、恐ろしい実験動物にされるのではないかと思って怯える毎日を暮らしている。
だが、先ほどの美しく若い青葉さんを見れば反応して、大きく成長してしまう。
それをバレないようにするために通常のサイズよりも大きめのワイドパンツを着用して、起立してもわからないように抑えつける金具付きのパンツを履いている。
抑圧された愛棒に痛みを感じるが、色々と気を使って生きているわけだ。
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あとがき
どうも作者のイコです。
息抜きにラブコメを書いてみよう思いました。
一話一話は短めで1000文字〜1500文字程度で投稿しようと思います。
楽しく読んでくれたら嬉しいです。
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