第6話
・side白鳥結奈
私はスワングループの一員として、そして将来の継承者としての責務を感じながら日々を過ごしている。
しかし、その重責の陰で、私は常に不安と葛藤に苛まれてきた。
結果を出し続けなければならない重圧、人から見られる私という作られた存在。
そんな中で私が知る男性は、父だった。
この世界では典型的なだらしない男性だった。
いつも何かをすることなく家でのんびりしていて、家族のために何かをすることはなかった。そんな父に対して母は依存していた。
「あなたは私だけのもの、誰にも渡さない」
それは狂気を見ているような光景で、外では厳格で強い母が、家ではだらしない父に甘えている姿に、娘の私は複雑な気持ちを抱えていた。
よく母は言う。
「あなたに全てを譲った後は二人でのんびり暮らしたいの。早く大きくなってね」
期待は非常に重く、私に求められるものは多かった。
そんな母を見るたびに、私は男性に対する不信感を募らせていた。
あんな父のどこがいいのかわからない。
父のだらしない姿が、どうしても受け入れられない自分がいる。
そんな私が、鈴木一という男性に出会ったとき衝撃を受けた。
男性がスーツを着て会社に行って、しかも父とは大違いな大人な対応、彼の真摯な態度に心を打たれた。
そして、初めて父以外の男性に抱きしめられて匂いを嗅いでしまった。
彼が私を助けてくれたとき、ただの高校生に戻れる。
スワングループの未来を背負う立場にいることなど忘れられる。
鈴木さんに対する感謝の気持ちを持つのは当然のことだが、同時に心の奥底にある父に対して抱いていた男性へのトラウマが塗り替えられていく。
幼い頃から母による厳しい教育と、父のだらしない態度に挟まれて育った私は、男性に対する信頼を築くのが難しいと思っていた。
そんな私の心を壊してしまう。
ズボンの先に見えたパンツは、三十歳以上の男性がつけるはずのない貞操帯をつけておられた際には、下腹部が疼きました。
オジ様は、三十歳を越えても男性機能を失っていない特異体質なんだ。
私だけが知っているオジ様の秘密。
オジ様への感謝の気持ちを示すだけじゃダメです。
私はできる限りのことをしたい。
ふふ、お母様が父に依存していた理由が私にもわかってしまった。
オジ様を独り占めしたい。
リムジンでの送迎、贈り物、そして日常のサポート。
全然足りないわね。
これらの行動は、私がオジ様に対して誠意を示す方法の一つに過ぎないわ。
まずはゆっくりとオジ様の怯えた心をゆっくりと溶かしていく必要があるわね。
「オジ様、もし私の行動が迷惑なら、遠慮なく言ってください。私はただ、感謝の気持ちを伝えたいだけなんです」
だからこれは駆け引きであり、攻めてばかりで逃げられるぐらいなら引いて距離を取る。
彼は驚いた表情を見せ、そして少し戸惑いながらも微笑んだ。
「いや、結奈さんの気持ちは嬉しいよ。ただ、こんなにお礼をしてもらうのは、少し戸惑うかもしれないな」
あ〜!!! 奥ゆかしい!!!
オジ様はどこまで素敵なんですか?!
他の男なら、迎えに来るのが当たり前だろと、こちらを罵ってくるのに、オジ様は私を気遣ってくださるのですね!!!
ダメ、まだダメよ。
ここで手を出してオジ様に嫌われては元も子もないのだから。
「それではオジ様、私とスマホの番号を交換しませんか?」
「えっ? ああ、いいよ」
やりましたわ! オジ様から一歩距離を詰められました。
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