第63話

 朝の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋を明るく照らしていて、私は目を覚ましました。


 隣で寝ているユナさんの穏やかな顔を見て微笑んでしまう。

 彼女の寝顔はとても可愛らしく、まるで天使のようだ。


 昨夜、彼女が突然やって来て、涙ながらに自分の気持ちを打ち明けた。

 その後、彼女は私の腕の中で安心したように眠りについた。


 それが幸せだと感じられるほどに、自分もユナさんを好きになっている。

 彼女を起こさないように、静かにベッドから抜け出し、リビングに向かう。


 リビングに入ると、人影がありドキッと驚かされる。

 

「おはようございます、鈴木さん」


 安西さんが座っていた。

 彼女の冷静な視線が私に向けられています。

 安西さんの突然の訪問に、私は驚きながらも昨夜のユナさんの突撃もあったので、なんとなく納得してしまいました。


「おはようございます、安西さん。どうしてここに?」

「お嬢様を迎えに来ました。昨夜、お嬢様が家を抜け出すところからついてきておりました」

「そうだったんですね?!」


 安西さんの言葉に、私は一瞬バツが悪くなりました。

 ユナさんが突然訪れ、夜を共に過ごしたことを思い出し、気まずさを感じます。


「そうでしたか…。すみません、ユナさんを送るべきでしたね」


 しかし、安西さんは首を横に振りました。


「そんなことで怒ってはいません、鈴木さん。むしろ、お嬢様があなたのところに来たことは自然なことです。年頃の女性が好きな男性がいるなら会いに行くことは普通のことですから」


 そういえばここは貞操逆転世界でしたね。

 心配されるのは女性ではなく、男性の方が危険ということですね。


 彼女の言葉に、私は少し安心しました。。


「それにお嬢様が幸せであれば、問題ないんです。お嬢様が安心して過ごせる場所があるなら、それは私も嬉しいと感じます」


 安西さんの言葉には、ユナさんへの深い思いやりが感じられました。

 私はそんな彼女に感謝の気持ちを抱きます。


「ありがとうございます、安西さん。ユナさんのことを大切に思ってくれているのが伝わります」

「もちろんです。お嬢様は私にとっても大切な存在ですから」


 安西さんは少し考え込んだように沈黙してから、言葉を続けました。


「鈴木さん、お嬢様と初めてを迎えられたなら、今後は他の女性が遠慮しなくてよくなるかもしれません」

「えっ? それはどういう意味ですか?」


 私は真剣な表情で答えた。

 ユナさんの気持ちを受け止めました。


 ですが、私は未だにDTです。


 その時、リビングのドアが静かに開き、ユナさんが現れました。


「おはよう、オジ様。詩織さん?」

「おはようございます、お嬢様」


 ユナさんの顔が幸せそうに微笑み、挨拶をしてくれます。

 昨夜の不安はどこかに消えているようです。


「おはようございます、ユナさん」

「詩織さん、迎えにきてくれたの?」

「はい。学校に行く準備もしてまいりました」

「ありがとう」

「お嬢様、初めての夜をおめでとうございます」

「ふふ、ありがとう。だけど、実はまだなの」

「えっ?」


 安西さんから祝福の言葉が述べられるが、ユナさんがそれを否定する。


「私も昨日は心が乱れていて、オジ様はそれを優しく受け止めてくれたの。でも、近いうちにオジ様にはお願いします」

「うえっ? あっ、はい!」


 何かを約束させられました。

 私の胸はドキドキと、期待を持ってしまっています。

 

 

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