第31話
side白鳥結奈
全ては、私の手のひらの上で起きたことです。
オジ様を私のものにするために行いました。
「ユナ様、佐藤大輝が来ました」
詩織さんがイヤホンで伝えてくれた学園での一幕。
佐藤大輝とオジ様を合わせたならどうなるのか? オジ様はどこまでも紳士的で、私の想像よりも素敵な答えを示してくれました。
私を守る毅然とした態度で、佐藤大輝に対して大人の余裕を見せられたのです。
それにはモニター見ていた詩織さんからも驚きの声が出ていました。
その後の佐藤大輝が行った行動は予想外であり、私にとってはオジ様の秘密を暴露されるという失態ではありましたが、同時に詩織さんを味方につける役目を果たしてくれました。
「お嬢様は鈴木様を男性として見られていたのですね」
「そうです。ですが、半信半疑で信じられません」
「では、確かめれば良いではないですか?」
その後は、佐藤大輝の悪事を利用して、オジ様を私の手元に置くために全ての計画を練ることができた。
さらに、佐藤大輝の思考に笑ってしまう。
私を誘拐するために闇サイトにお金を払うなんて、誰がそんな面倒な犯罪を受けるというのですか? プロがこんなにも簡単に素人がアクセスできるサイトにいるはずがありません。
ですから、すり替わって、私が佐藤大輝の依頼を受けて差し上げました。
そして、詩織さんや他の者に協力してもらって、私を監禁してもらったのです。
「お前は俺のものだ! 俺に従え!」
バカな男が私の手のひらで踊る。
あなたはピエロ、私とオジ様ために踊っていただきます。
オジ様が許すと言われた時には、他の方法を考えようと思っていましたが、まさかここまでこの男がバカなことをするとは思わなくて、私の予想を超えていたわね。
「佐藤大輝、私はあなたのものじゃない。誰のものでもない。私は私自身で生きているの」
彼が私に掴みかかろうとした瞬間、体を動かし、彼の側頭部を蹴り上げた。
「ガハッ!」
地面に倒れる佐藤大輝の元へ、数人の警察官が突入していく。
ここまで私の手のひらの上で踊ってくれるとは思わなくて、お礼を言いたいぐらいよ。
「オジ様!」
警察の事情聴取を行う前に、オジ様の元へ戻ると抱きしめられてしまいました。
「私のために危険な目に合わせてしまい、申し訳ありません」
私のことを心配してくれていたのです。
両親にもここまで心配されたことがない私は、胸の中が熱くなるのを感じました。
「オジ様、私をこんなに心配してくれて…本当にありがとうございます」
私はオジ様の胸に顔を埋めました。
あの助けてもらった時と同じ匂い。
私の大好きなオジ様の匂いに満たされていきます。
「ユナさん、あなたは本当に勇敢ですね」
「オジ様、私のことをもっと知ってください。私もオジ様のことが知りたいです」
「はい。よろしくお願いします」
「嬉しい!」
オジ様を自宅に送って、警察の事情聴取を受けました。
佐藤大輝君は相応しい罰を受けてもらいます。
♢
帰宅する車の中で、詩織さんが話しかけてきました。
「お嬢様、計画は成功しましたね」
「ええ、全てが上手くいきました。オジ様は私のものです」
「これからどうするつもりですか?」
「もっと大胆に行動します。オジ様の心を完全に私に向けるために」
詩織さんは、バックミラー越しに頷いてくれていた。
「分かりました。全力でサポートします」
「ありがとう、詩織さん。これからも協力よろしくお願いします」
私はこれからのことを思って、口元が緩んで仕方ありません。
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あとがき
どうも作者のイコです。
エピソード1 白鳥結奈は終わりです。
次の話はエピソード2 花井杏樹をお送りします。
どうぞよろしくお願いします!
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現代ファンタジー10位
カドカワbooksランキング8位
になっておりました。
全ては読んでくださっている読者様のおかげです。
本当にありがとうございます。
ブックマーク、レビュー、いいねなどで応援いただければ励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。
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