第43話
私は女性の気持ちを教えてくれるという青羽さんの提案にしたがって、会社に行かない日は毎日朝にリモートをすることになりました。
そして、週に一度は直接会って実践練習をします。
女性の気持ちを理解するための試行錯誤が始まりました。
リモートでのやり取りが始まった初日、私はパソコンの画面越しに青羽さんと対面して少し緊張します。
青羽さんはいつものクールな様子から、少し柔らかな印象に服装を変えていました。
「おはようございます。青羽さん」
「おはようございます。鈴木さん、今日は女性の心理についてお話ししますね」
「よろしくお願いします。本日は、柔らかな印象なんですね」
「ええ、鈴木さんの話を聞く限り、花井さんという女性は柔らかな印象でしたので、本日は花井さんに寄せてみました」
「そうなんですね。色々とありがとうございます」
クールな印象から、柔らかな女性に見せることができるなんて、化粧って凄いですね。印象が全然変わりました。
「鈴木さん、そういうところに気付くのはいいですね。それではまず、女性の心理から説明をしていきます。女性は感情的な生き物であり、共感を求めることが多いんです」
「共感ですか?」
「例えば、ユナさんや花井さんが何か話しているときに、ただ頷くだけでなく、『そうだよね、わかるよ』といった共感の言葉を添えるといいです」
青羽さんの視線が下を見ています。
どうやら今回私に説明してくれるために、色々と事前に用意してくれたようですね。
「それは難しそうですね。共感の言葉を自然に出せるようになるには練習が必要そうです」
「そうですね。私もまだまだ勉強中ですから、一緒に試行錯誤していきましょう」
「色々とお気遣いありがとうございます」
リモートの合間に、週に一度の直接会う日を作ってくれました。
青羽さんのランチの時間に会社近くに行って、一緒にカフェでランチをとります。
「鈴木さん、今日は実際にデートのシミュレーションをしましょう。午後は会社を休みましたので、時間もあります」
「えっ!? そこまでしていただいたんですか? なんだか申し訳ないです」
「いえ、私の仕事は、会社ではなく鈴木さんのサポートですから」
なるほど仕事としてということですね。
それならば、甘えてしまいたくなります。
「それでは、まずは褒めについて講義をしようと思います」
「褒めですか?」
「はい。女性は褒められることで輝くのです。本日の私の服装はどうですか?」
褒める訓練と言われて、青羽さんが立ち上がって服装を見せてくれます。
印象的には、カジュアルフォーマットで、ロングスカートにブラウスとシンプルな印象ですが、清潔感があります。
「清潔感があって、美人な青羽さんに似合っていると思います。この間、リモートで見た可愛い印象の化粧とは違って、今日は仕事に合わせて整えておられるので、可愛い過ぎなくて、素敵だと思います」
私が思ったことを伝えると、なぜか青羽さんが胸を押さえて座り込んでしまいました。
「どうされました?!」
「いっ、いいえ。大丈夫です。その調子です。女性は細かなことに気づける男性を素敵だと思います。ですが、気付く際に言ってはいけない言葉があります」
「えっと、太ったとかですか?」
「そうです! 女性の容姿で気にしていることは指摘してはいけません! 他にも年齢の話なども禁句です!」
「わっ、わかりました!」
青羽さんのアドバイスを受け入れて、私も少しずつ成長できている気がします。
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あとがき
どうも作者のイコです。
近況ノートでご報告させて頂きましたが、カクヨムネクストにて、新連載を載せていただくことになりました。
いつも読者様には感謝ばかりですが、ネクストの方でも応援いただければ幸いです(๑>◡<๑)
どうぞよろしくお願いします(๑>◡<๑)
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