第19話
数日後、僕が上げた暴露動画はネットニュースで取り上げられるほどに話題になった。
僕の学校でも多くの女子たちが話題に上げている。
くくく、そうだ。
全員で鈴木の元に殺到すればいい。
そうすれば、結奈は鈴木に近づくことができなくなり、僕はその間に結奈を落とせばいい。
何よりも、三十歳のオッサンができるはずがない。
バカな奴らだ。
出来ないと思いながらも確かめずにいられない。
インタビューをしても、鈴木は出来ないと答えるだろう。
なら、高校に何をしに来たのか? 今度はそれが話題になる。
そうすれば変態オッサンとして鈴木は批判されて、勝手に落ちていく。
僕は他人を貶めたり、相手をバカにするような手段は取らない。
周りが勝手に詮索して、鈴木を追い詰める。
「やぁ、結奈。どうやら君が連れてきた鈴木さんには秘密があるようだね」
学校で結奈と再会したとき、彼女の表情には明らかな違和感があった。
「佐藤君、最近何かやってるみたいね。ネットで鈴木さんのことを話したようね」
結奈の言葉に、僕は一瞬動揺したが、すぐに平静を装った。
「何を言ってるんだ、結奈。僕は鈴木さんがなんのために学校に来たのか推測を上げただけだ。ネットなんだ。もしもそんなことがあれば面白いってね」
「余計なことを」
「えっ?」
「なんでもないわ。正直、あなたには幻滅していたけど、それ以上に嫌悪を持ったわ。もう学校でも話しかけないで頂戴。あなたの顔を見るだけで虫唾が走るの」
「なっ!」
結奈から向けられる強い嫌悪の視線は、僕が味わう初めての視線だった。
なんだ? なぜこんなにも結奈は怒っているんだ?
「ふん、いいだろう。まっ、まだ僕には手があるんだ。結奈、君は絶対に僕のものになるんだ」
「あなたは日本語がわからないのかしら? 視界に入るなって言っているの!」
「ぐっ!」
僕は結奈から向けられる冷たい視線から逃げるように立ち去った。
♢
side鈴木一
土曜日の学校見学から帰ってから数日後……。
目を覚ましてスマホを見れば、大量の通知が届いていることに気づいた。
「えっ? 何が?」
何か重大なことが起きているのかと確認すると、SNSのメッセージやフォロワー数が急増していた。
今まで、登録はしていたが使ってもいなかったアカウントで、クゥの写真を投稿することしかしていなかったはずなのにどういうことでしょうか?
「どうしてこんなことに…?」
驚きながらも通知を見ていると、多くのメッセージが女性からアプローチのような内容でした。
「えっと、私三十歳オーバーの男性であることは通知していますよね?」
その中には、見覚えのある名前も混じっていました。
「鈴木さん、もっと早く教えて欲しかったです。もっとお話ししたいです」
「土曜日に学校で遠くから見かけました! 女子高生です。お茶でもどうですか?」
「鈴木さん、私のこと覚えていますか? 昔、同じ会社で働いていた者です」
メッセージを読み進めるうちに、私の状況を理解することができました。
どうやら学校で出会った佐藤大輝君が、new tubeで私はもしかしたら男としての機能を失っていないんじゃないかという情報を暴露するような内容を話していた。
それが私への関心を集めてしまったようです。
これは私が恐れていた、怪しい研究機関が私を捕まえに来るのではないでしょうか?!
佐藤君がどのような意図を持って暴露したのか知りませんが、女性たちが私に興味を持ってしまいました。
また有名な彼の暴露だったために、それを信じて積極的にアプローチしてくる女性がDMを送ってくれているようですね。
「これは困りましたね。相手のことも覚えていません。顔も覚えていない女性にアプローチされても困りますね」
ハァー、会社に行くのも困るほどに人が集まってしまって困ってしまいます。
ですが、すぐに警察がやってきて集合した人たちが遠ざけてくれました。
ただ、テレビのカメラなどまで来てしまっているようで、私は仕方なく会社に電話して、外に出れないことを説明してお休みさせてもらうことにしました。
「さて、どうすれば解決するでしょうね?」
本当に困っていると、玄関が鳴りました。
恐る恐る、モニターを見ると青羽さんが立っておられました。
「えっ! 青羽さん?」
「鈴木さん、お話ししたいことがありますので、入れていただけますか? 白鳥結奈さんも同席します」
「えっ? あっ、はい」
私は彼女たちを家へと招き入れました。
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