第53話

 ユナさんとアンジュさんの微笑みが、部屋の雰囲気を明るくしてくれています。


 私は、ユナさんに対して負い目のようなものを感じていましたが、考えてみれば一夫多妻制が認められていて、彼女たちは少ない男性を分け合うように教育をされております。


 今、二人が和やかに私の部屋で話をしているのも、二人にとっては当たり前のことなのかもしれません。


「ユナさん、アンジュさん、せっかく二人が揃ったんですから、今日は特別なお茶会にしましょう」


 私は立ち上がり、キッチンから特別に用意した高級なお茶セットを取り出した。


「オジ様が入れてくださるのですか?」

「ええ、最近は紅茶とコーヒーを自分で淹れるようにしているんですよ」


 カップお湯を注ぎ温めている間に、ティーポットに丁寧に茶葉を入れる。

 茶葉の香りが部屋中に広がり、彼女たちの目が輝いて見えた。


「美味しそうな香りですね」


 アンジュさんが嬉しそうに言うと、私は微笑んで彼女にカップを渡した。


「さあ、どうぞ、熱いので気をつけてください」


 ユナさんにも同じように渡して、二人が一口飲むのを待った。

 二人とも満足そうに微笑んでくれる。


 淹れる練習をしておいて、よかったです。


「本当に美味しいです、オジ様」

「ごちそうさまです! ありがとうございます」


 二人とも喜んでくれたので、笑顔で頷く。


「よかったです。二人の喜ぶ顔が見れたのが何よりです」


 私がお礼を言うと、彼女たちの頬が赤くなりました。


「お二人には日頃から支えていただき感謝を伝えたいと思っています。本当にいつもありがとうございます」


 アンジュさんが照れたようにハニカミ、ユナさんの目が潤んでおります。


 もっと感謝やお礼を口にしたほうが良いですね。

 今後は二人に対して、ちゃんと伝えるようにしなければいけませんね。


「ユナさん、私は不器用な昔人間で、女性に養われているだけの存在は嫌だと考えてしまいます。ですから、動画撮影や仕事も続けていきたいと思います」

「オジ様のしたいことを、してくれている方が私も嬉しいです! ちゃんと伝えてくれてありがとうございます」


 次に、私はアンジュさんに目を向けた。


「アンジュさん、これからも一緒に仕事を通して一緒にいて欲しいですが良いですか?」

「はい! 喜んで! ハジメさん、そんな風に言われると…照れちゃいます」


 私は彼女たちの手に触れて、もう一度お礼を伝えました。


「二人ともありがとうございます」


 ユナさんとアンジュさんは驚いた表情で私を見つめました。


「オジ様?」

「ハジメさん?」

「私は、お二人を女性としても意識をしております」

「えっ!?」

「なっ!?」


 私は少しだけ彼女たちとの距離を縮め、ささやくように伝えました。


「お二人も知っての通り、私は子供を作ることができます。そして、女性のことを素敵だと思っています。ですからお二人との未来を考えさせてください」


 彼女たちの手を離して距離を取る。


「ゆっくり距離を近づけていけたら嬉しいです」


 ユナさんとアンジュさんは互いに顔を見合わせていました。


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