第59話
カフェの中はコーヒーの香りが漂っていて、良い雰囲気をしております。
私は心の中で一つの疑問を抱えていたことを質問してみることにしました。
白鳥結奈さんや花井杏樹さんからの好意を感じる中で、安西さんはどう思っているのか、そして、彼女から見た白鳥結奈さんという人物はどんな人物なのか聞いてみたいと思いました。
「安西さん、少し相談してもいいですか?」
「な、何ですか?」
安西さんはカップを持つ手を少し緩め、私に視線を向けます。
昔ながらのホットケーキにミルクティーを幸せそうな顔で食べておられます。
甘い物が好きなんですね。
「実は最近、いろいろな女性から好意を感じることが多くて、どう対応すればいいのか悩んでるんです。ユナさんもそうだし、アンジュさんも。私のような男を、安西さんはどう思っているのか、気になってしまって…」
安西さんの目が一瞬驚いたように見開かれます。
彼女は少しの間考え込んだ後、ゆっくりと口を開きました。
「それは…鈴木さんが特別な存在だからじゃないですか? 男性が少ないこの世界で、清潔感があって、優しくて紳士的な男性は、女性から好かれると思います。他の男性は見た目が太っていたり、あまり優しくない男性が多いので。理想の男性像を壊される女性が多いのです」
安西さんは意外に客観的な意見を話してくれて、嬉しいです。
「なるほど、つまりは悪くはないと?」
私が納得してない態度だったので、安西さんは食べる手を止めてしまいました。
「鈴木さんは特別な存在だと思います」
「えっ?」
安西さんから特別だと言われると思わなくて、驚いてしまいます。
「今の世界は男性が少なくて、他の女性に対する優しさを見ていると、私も尊敬しています。でも、誰でもいいわけじゃないです。私も女性ですから、好意を持つ相手には一定の条件があります」
「例えば、どんな条件ですか?」
安西さんはカップを置き、私をじっと見つめた。
「清潔感があり、優しくて紳士的であれば…嫌ではありません。むしろ、好意を持つこともあります。でも、それ以上のことは、自分の気持ちに正直でありたいと思っています」
その言葉に、私は少し安堵すると同時に、胸の中に温かいものが広がるのを感じました。彼女が自分の気持ちを素直に話してくれたことに感謝の気持ちが芽生えた。
「ありがとうございます、安西さん。あなたの言葉で少し安心しました。これからも自分らしく、女性に対して誠実でありたいと思います。もう一ついいですか?」
「なんです?」
「安西さんから見るユナさんはどんな人でしょうか?」
私の質問に真剣な瞳をされました。
「私はお嬢様のために尽くす人生を歩んできました」
「はい」
「お嬢様は、昔からご両親に悩みを抱え、男性に対して不信感を持たれるほどでした」
「そうなのですか?」
そんな風には見えなかったので、驚いてしまいます。
「そんなお嬢様が、鈴木さんに助けられてから、鈴木さんに対してだけは素直に気持ちをぶつけておられます。きっと、それほどまでに嬉しかったのだと思います」
「そうだったんですね」
「はい! ですから、お嬢様を大切にしてあげてください」
そう言って安西さんに頭を下げられてしまいました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
どうも作者のイコです。
本日お昼の12時から、カクヨムネクストで新連載が開始します。
1話目は無料で読めるので、良ければ見ていただけると嬉しく思います。
どうぞ、よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます