4話 野菜のポトフ 6
「その赤ん坊、髪の色は黒いけど。…目元や瞳の色はリリャーと同じで、なんとなく似ている気がする。」
その言葉を聞いて、再び大人達は互いに顔を見合せだした。
アニタは訳が解らず、目を丸くしていた。さらに、
「なぁ。…その赤ん坊って、アンタの弟か妹じゃないの?…」
と思わず、問いかけている。
「ううん、違うの。…この子は、うちの物置小屋にいたんだよ。……」
とサーラも、すかさず否定した。
「…なんだって?……そう言う事かい。」
次の瞬間に、アニタは溜め息を漏らした。話を聞いて、ようやく頭の中で概ねの状況を理解した。ただ同時に、心中では不安や憤りが渦巻き、表情が雲ってしまう。
「…アニタさん、大丈夫?」
とサーラが心配そうに、聞き返す。
なんとかアニタも頷いていた。続けざまに少しの間だけ思い詰めた様に下を向いて考え込んでいると、やがて顔をあげて再び喋りだした。
「なぁ、…サーラと、ロンドさんだっけ?…頼みがあるんだが?…少しの間だけでいいから、私をアンタ達の家に置いてほしいんだ。」
「えぇ?!」
「ほぇ?!」
すると親子は同時に驚き、慌てふためいた。互いに両目を見開くと、顔を見合せて、再び前に振り向いた。
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