2話 3章 玉葱ソースの鹿肉ハンバーグ 7
室内に気まずい空気が漂いだす。
すぐにエピカが取り成した。
「大伯父様。…子供同士の事ですし、よくある事ですわよ。」
さらに、ジョンドも加勢に入ってきた。
「その通りでございます。…侯爵様、此方の皆様も気にしておらぬ様子でございますし、時間が経てば解決しますとも。」
「しかしだな。…客人に不快な思いをさせたままにしておくのは、侯爵家の沽券に関わる。…身内のしでかした失態は、親族の私も責任を取るべきだろう。」
しかし、それでもマーチスは引き下がらずに、己の主張を言い続けてくる。
「う、…。」
「…それは確かにそうですが。」
次第にエピカやジョンドは気圧され、しどろもどろになっていく。喋る言葉の語尾が尻すぼみになっていた。
「そうだ。…誰か!…厨房に行って料理人に、あれを持って来させなさい。…私が土産に持ってきた奴だ。…この人達に、振る舞うのだ。」
するとマーチスは、何かを思い付いたようだ。今度は使用人達に指示を飛ばしだす。
それを受けて、エピかは小さく溜め息を吐くと、頷いていた。
さらに続けて、メイド達が慌てて部屋を飛び出していき、僅か十数分も経たぬ間に戻ってきた。
やや遅れて一人の男も、一緒に入室してくる。
それはブランモンである。両手で抱えながら大きな肉の塊を持ってくると、長テーブルの上に置いて語り掛けてきた。
「…マ、マーチスさま。…お、お待たせしました。…ご所望の品です。」
「おぉ!…来たか。…早速で悪いが肉を捌いてくれ。これを皆さんに振る舞まうのだ。…ステーキで頼むぞ。」
と、マーチスも返事をして要求してくる。
「し、しかし。…お言葉を返しますが。…此方の肉はステーキに適してません。」
「…何だと?」
「…えっと。…」
対してブランモンは即座に出来ないと断った。おどおどしながらも、慎重に説明をし始めていく。
「…この肉は鹿肉です。…しかも肩の部位に近い部分でございます。…この部位は運動量が多くて、繊維質な部分ばかりでして。…だから、ただステーキにしてしまうと、パサパサとした固い肉になってしまいます。」
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