3話 蜂蜜の猪ステーキ 7

 親方も怪訝そうに首を傾げると、「そんなのがあるのか?…」と問いかけた。

 「うん。」

 とサーラは肯定する。

 「良いな。…一仕事を終えた後に、酒を飲みながら、肉を頬張るのは。…なら食ってみたいぜ。…」

 すると親方は上の空で微笑みながら、状況を想像して悦に入ると、矢継ぎ早に「頼むぜ!」と言う。

 「あいあいさー!!…買い物したら、ハンター組合の集会所で、皆の分も作ってあげるわ。」

 とサーラは高らかに宣言すると、踵を返して荷馬車の方へと戻り、買い物を再開していく。

 彼女にとっては、久しぶりのご馳走に、全力で張り切っている様子であった。


 ※※※


 やがて時刻は、昼を少し過ぎた頃である。

 此処はハンター組合支部。奥の飲食スペースでは、村のハンター達が続々とテーブルに集まっている。

 彼らは既に仕事を終えており、軽く酒盛りをしていた。

 互いに顔を見合せて座席に腰掛けながら、上機嫌に大笑いしている。

 各々が楽しそうに、思い思いに過ごしている。

 酒や軽いつまみを注文しては、飲み食いする者がいる。

 頬を紅く染めながら、くだを巻く者もいる。

 はたまた支部の女性スタッフに、ちょっかいを掛けている者もいた。

 そんな様子を入り口から、村長は眺めていて、

 「やれやれ。…仕方ないのぉ。…」

 と呆れながら呟いて、エントランスを突っ切って行き、受付カウンター奥にある扉から、従業員の控え室へと入って行った。

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