3話 蜂蜜の猪ステーキ 8
その部屋は、入ってすぐ側に簡単なキッチンがある。
釜戸が四つと水場があるだけだ。しかし村で一般的な設備よりも大きい。
また近くにも、質素ながらテーブルも設置されていた。
テーブルでは、幾人かの女性スタッフと村の御婦人達が揃い踏みしていた。数多くの調理道具や、大量の野菜を用意しており、各々が料理する準備を進めている。
さらに最も妙齢の女性が猪肉を切り分けており、周囲の人々へと配分している。
その猪の肉は、赤く色ついており、綺麗に解体や血抜きと鞣し作業がされていた。全ての肉の部位が余さず使用できる様に処理されていた。
「あいよ、サーラちゃんの分だよ。」
「はい!…は~い!!」
とサーラも混じわりつつ、真っ先に肉を受け取ると、人一倍に部屋の中を動き回り、調理の準備をしていた。抜き手も見せない動きで最も手際が良い。
さらに作業するテーブルの側では、備え付けの椅子の座面に、大きめな籠が置かれていた。
籠の中では、赤子が寝かされている。
すぐさま村長は気がつくと、籠の側に向い、隣に椅子を置いて腰かける。
すかさずサーラも気がつき、話しかけてきた。
「あら、村長さん。」
「…邪魔するわい。…ワシの事は気にせんでな。」
と村長はぶっきらぼうに言い、鼻を鳴らすと、すぐに明後日の方を向いてしまう。だが横目で伺いながら、赤子の様子を見ている
サーラは不思議に思いながらも、気を取り直して調理に移っていく。
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