　まず彼女は、水場と釜戸へと肉と材料を持って行き、。事前に釜戸では鍋に水を張り沸騰させる。

　続けて肉を分厚くカットすると共に筋を切って準備を終えた。さらに持参した買い物籠からも、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん等の各種類を数個ずつを用意する。どの材料も先程の買い物で購入した物であり、まだ土が付着していて新鮮だった。

　それらをサーラは使う分だけを、水場で良く洗い、汚れや匂いを落とす。だが肉だけは軽く洗ったら、煮えた湯に入れて少し茹でて余分な油も溶かしてしまう。ついでに念入りに臭みを取り除いているようだ。少し時間が経って湯から肉を引き上げたら、

　「えぇと、これじゃ。…さっき、商人さんから、お詫びで安くしてもらったやつ。…」

　と買い物籠から、小さな小瓶を取り出した。

　それは蜂蜜である。匙で少量を掬うと、切った肉の全面に塗りたくった。

　近くにいた御婦人方はギョッとしている。

　逆に村長は、「ほぅ。」と感心した様に小さな声をこぼした。

　「よし、後は少し置いとくだけ。」

　とサーラは周囲の様子を気にも止めずに、調理を続けている。今度は材料を全て持ち出し、再びテーブルへと戻ると、野菜類は全てまな板の上で一口大に切っていく。ただし芋だけは皮付きのまま、同じ様に等分にしている。

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