3話 蜂蜜の猪ステーキ  10

 そうして一通りの行程が終わった。

 今度はサーラは銅製のフライパンと木製のヘラを手に取り、下ごしらえした材料と纏めて持って、また釜戸の方へ場所を移す。

 そのままフライパンの鍋底に油をひき、弱火にかける。次第に熱を帯びて、油が跳ねる音がしてきた頃合いとなったら、肉に軽く塩を振ってから投入した。

 最初は側面から、次に両面に焼き色が付くまで火を通していく。

 辺りには、ジュウ、ジュウ。と焼けていく音がしてきて、香ばしい匂いが漂っていた。

 やがて表面の色が変わると、フライパンに蓋してから火から外し、濡れ布巾の上に置いておく。後は余熱で中までじっくりと熱を通していた。

 最後に再びフライパンを強火にかけながら、肉の全体に適度な焦げ目をつけたら皿に移した。

 最後に残った肉汁で野菜類を炒めていき、付け合わせとして、肉の横に添えておく。

 「いい匂いねぇ~。」と、近くで誰かが呟いているのが聞こえた。

 「できたのじゃ~!」

 とサーラも料理の乗った皿を自慢気に掲げており、冷めないうちに、すぐさま隣の飲食スペースまで持っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る