2話 3章 玉葱ソースの鹿肉ハンバーグ 15

 やがてブランモンは、机の上の材料を見て、気がついた。

 もう既に鹿肉の殆どが無くなってしまっていた。おまけにフライパンにもハンバーグも、残り一皿だけである。

 しかし、「…おい、まだか?」と、マーチスが呼び掛ける声が聞こえてくる。

 ブランモンは恐る恐ると、最後の料理を乗せた皿を差し出した。

 「これが最後の一つです。」

 「おぉ、そうか。……なら、それはメローナちゃんに、持ってってあげなさい。…こんな美味しい料理は、あの娘にも食べさせたいから。」

 とマーチスは、別の指示を飛ばす。

 すぐにブランモンは、「は、はい!」と返事をすると、慌てて皿を持ったまま扉から廊下に出ていき、走り去っていったのだった。

 その様子をマーチスは見届けると、改めて村人達の方に向き直る。主にサーラの方に視線をやりながら、

 「…今日は、本当に礼をしてもしきれない。…皆さんにお詫びをする筈だったのに、随分と私が堪能してしまった。…また別の機会にでも、ご馳走させてくれ。」

 と、軽く頭を下げながら御礼を述べていた。

 「いえ、いえ。…お気に召したのなら。」と、サーラは笑顔を向けながら、両手を振って返事をしていた。ふと同時に、視界の端に見えたのが気になり、思わず目を向ける。

 そこには、マーチスの食べ終わった皿が並ぶ。どの皿の表面には、付け合わせの野菜が残されていた。どれも全く手を付けてすらいない。

 その視線にマーチスも気がつき、聞き返してくる。

 「…どうしたのかね?」

 「えっと。…なんで、お野菜を残してるの?…美味しいよ。」

 と、すかさずサーラは質問していた。

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