4話 野菜のポトフ 7

 続けざまに、ロンドが代表して断った。

 「い、いきなり…そんな事を言われても困るよ。」

 「そこをなんとか。」

 しかし、それでもアニタは懇願していた。真っ直ぐに親子を見据えており、決して視線を反らさない。凄く強い意思を感じた。

 そのまま同じ、やり取りが続く。

 「…どうして、そういう話しになるんだい?」

 「…アンタ達の言いたいのは、その赤ん坊はリリャーの子供なんじゃないかって事だろう。…だったら近くにいれば、あの娘が迎えにくるかもしれないと思ったからさ。」

 「し、しかし。……来ないかもしれないだろう。」

 「…あの娘は優しいから、置き去りになんてしない。…何か訳があるんだよ。…」

 「……で、でもねぇ。」

 「なぁ、…御願いだよ。…頼む。」

 「うぅむ。」「どうしようか。…お父ちゃん?」

 次第にロンドとサーラは視線を交わし、少し悩んで考え込んだ。

 「わかったよ。…」

 しかし、最後にはロンドは呟き、了承した。根負けしたようだった。

 「…あ、ありがとう。…恩に着るよ。」

 とアニタは喜びのあまりに席を立ち、前のめり気味に身体を躍り出して、親子の手を取って握りしめだした。

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