2話 野菜のパン粥 12
すると間髪いれずに、再び赤ん坊は勢い良く食らいつく。次第に笑顔となった。
その顔を見て、ケリーも微笑みを浮かべながら、
「お、美味しいかい?…なら、もっとお食べな。…」
と、また匙でパン粥を掬っては、何度も赤子の口元へ運ぶのを繰り返していく。
赤ん坊もどんどんと食べ進めていき、深皿の中身を空にしてしまう。瞼もうつらうつらしており、満腹になったようだった。
「あ、…一応ゲップさせないと、…。」
とサーラが気がつき、赤子の背中を軽く叩いてみた。
ぶっ!!
赤ん坊は、大きなオナラを出した。
「は?」
「え?」
「ん、ふふ?」
大人達は思わず、互いに顔を見合せると、堪えきれずに吹き出してしまう。
室内には、彼らの大笑いする声が響いていた。
そのまま全員で、他愛ない話をしだす。
「あはは、可笑しいねぇ。」
「そうだな、ケリー。…それに今日は疲れたから、なんだか腹が減ったよ。」
「あたしも。」
「なら、食事の支度をするかね。…二人も食べていきなよ。」
「いいの?」
「あぁ、遠慮しないで。…自慢のスープをご馳走するよ。」
「…ありがたく、いただきます。」
「ケリーさん。ありがとう!」
「…ほら、二人ともテーブルで待ってなよ。」
そうして親子はジョーに促され、食卓のテーブルを囲む様に並んで座る。
ケリーも、ゆったりとした動きで調理をしている。
夜がふけていくにつれ、室内には食欲を掻き立てる匂いがしてきて、
サーラは落ち着かない素振りで、待ちわびていた。
ロンドとジョーは雑談をしながら、互いの苦労を労っていたのだった。
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