2話 野菜のパン粥 11

 その視線にサーラも気がつき、

 「あら、ケリーさんも食べてみる?…はい。…あ~ん、して。」

 と、今度はケリーの目の前へと、パン粥を掬った匙を向けだした。

 「いいのかい?」

 とケリーも、恐る恐ると匙を口にする。

 パン粥は柔らかかった。トロリとした口触りをしており、ほぼほぼ歯で噛む必要もなく崩れてしまう。だが口の中では、芋のとろみに加えて、野菜本来の素朴な旨味や甘さがしっかりと広がっていく。

 「どうじゃ?」

 「美味しいね。…」

 「これは、優しい味だよ。…温かではない。でも食べれば心がほっこりする様な気がする。…」と、ケリーは静かに答えた。

 「うふふ、よかった。」とサーラも満足げな表情となる。さらに

 「今度は、ケリーさんも、あげてみて。」

 と言い、忍ばせていた別の匙をケリーの手に渡し、

 「うぅむ、…わかったよ。」

 やがてケリーも渋々ながら、サーラの見様見真似で、深皿によそったパン粥を匙で掬い取り、赤子の口元に運んでいた。

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